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【神奈川】

ぜんそく医療費 国に9000万円要望へ

2008年3月6日

 川崎市の気管支ぜんそくの成人患者医療費助成制度に関連し、阿部孝夫市長は五日、国が東京都の無料医療費助成制度の創設のため、公害健康被害予防事業基金(約五百億円)から六十億円を拠出することに対して「自治体支援の公平性の観点から、本市にも助成があってしかるべきだ」として、十二日、国などに直接要望すると発表した。要望先は首相、環境相、衆参両院の議長、各政党代表ら。

 市は昨年一月、全国に先駆け、公害健康被害補償法の認定患者以外で、気管支ぜんそくの成人患者らを対象に、市が医療費の自己負担分三割のうち三分の二を助成する制度を始めた。

 ところが、昨年八月、東京大気汚染訴訟の和解で、都はぜんそく患者を救済するため、国、自動車メーカー、首都高から資金の拠出を受け、都自身も六十六億円を支出し、八月から無料の医療費助成制度(五年間)を創設することになった。

 そこで、市は旧公害指定地域の自治体でつくる協議会などを通じて、所管の環境省に働きかけたが、二月末まで要望に応えた回答がなく、阿部市長が“トップ交渉”に乗り出すことになった。

 市は国からの資金拠出策として、同省が新年度に新設する「自立支援型公害健康被害予防事業」で、市制度を助成対象にすることを求める。健康福祉局の坂元昇医務監は「国の助成を受ければ東京都と同じ形を検討する」と、市民負担の無料化を視野に、市の同制度事業費約九千万円の助成を要望する。

 川崎公害病患者と家族の会(北島幸会長)などは二月、市議会に、患者一割負担の廃止や市が国に助成を働き掛けることを求める請願を二万人の署名と併せ提出。大場泉太朗事務局長は「(国への要望は)一歩前進だが、実際にどうなるか見守りたい」と話した。 (飯田克志)

 

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