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武器に戦闘機、潜水艦…後進国から返品相次ぐ ロシアの軍事産業 (1/2ページ)
【モスクワ=遠藤良介】ロシアが力を入れている武器製造など国策産業分野で、外国からの契約破棄や製品突き返しといった異常事態が相次いでいる。ロシアが契約内容を守らないことや製品の質が悪い問題に加え、ロシアが得意としてきた発展途上国市場で、米国などが売り込み攻勢をかけていることが背景にある。
報道によると、アルジェリアは2月末にブーテフリカ大統領が訪露した際、品質に問題があるとして、昨年購入したミグ29戦闘機15機を、ロシアに返品することで合意した。契約は47億ドルにのぼるアルジェリアの対露債務帳消しなどを引き換えにしており、同国に有利な内容だった。
武器輸出の4分の1を占めるインドとの間では、2005年に受注したディーゼル潜水艦の近代化改修が問題となった。搭載された対艦ミサイルが6発の試射で1度も命中せず、インドは1月までに製品の受領を拒否した。
納期や受注額をロシアが守らないケースも続出している。インドが04年に発注した中古空母の改修では、ロシアが契約額の7億5000万ドル(約775億円)を完工前に使い切り、追加支払いと納期の2年延期を要求して交渉が難航している。
露コンサルティング大手「フィンエクスペルチザ」のミカエリャン社長は、「軍需関連産業は最も閉ざされた分野であり、ソ連時代の商法を引きずり、物価上昇の可能性などを考慮せずに破格値で受注してきたことが問題だ。労働生産性の低さも考えれば、もはやロシアの製造業に価格上の優位はない」と指摘する。