秋の解散総選挙前に自民党総裁は交代か?=田原総一朗(ジャーナリスト)
2008年3月3日 リベラルタイム
僕はいま、政府のやっていることに、あまりにも関心が持てずに困っている。何をしようとしているのかわからない。いや、何もしていないという気がしてしようがない。振り返れば、小泉(純一郎元総理)時代、安倍(晋三前総理)時代はよかったと思う。批判はあるにしても、彼らが何をしたいかがはっきり見えたからだ。福田康夫内閣には、見えないというより、本人に総理としてやるべきものがないのかもしれない。そのためか、自民党の中に不満がくすぶっている。そして、じわじわと動きが出てきた。
一つは中川昭一(自民党元政調会長)さんが会長となり、保守勢力の結集を目指した「真・保守政策研究会」である。二月十五日には、政府・与党が今国会への提出を目指す人権擁護法案について、反対の観点から勉強会を開いたが、七十九人が集まっている。保守再生とは何かと、この勉強会に参加した何人かに話を聞いた。すると、こんな話をした。
「福田(康夫総理)さんのやりたいことは二つである。お父さん(赳夫元総理)のできなかったサミットの議長と解散総選挙である。これが彼の唯一の目標にすぎない」
福田さんは、今年七月の北海道洞爺湖サミット(主要国首脳会議)の議長はできるだろうが、解散総選挙の時に、総理総裁でいられるかどうかわからない。
古賀(誠自民党選挙対策委員長)さんや菅(義偉自民党選挙対策副委員長)さんは、総選挙に向けて走っているが、自民党は福田さんを総裁として選挙に臨むのかどうか。
自民党幹部は、誰もはっきりとはいわないが、「選挙後に総裁を目指しても意味がない。自民党が勝てば福田内閣が続投となり、負けて自民党が野党になってしまっては、元も子もない。政権を取り戻すには時間がかかる」と感じている。となると、総選挙前にひと波乱ありというのが、僕の感触である。
ひと波乱というのは、麻生太郎自民党前幹事長、平沼赳夫元経済産業大臣、中川昭一さん、安倍晋三前総理、菅義偉さん等の議員を自民党総裁候補として擁立する可能性があるということだ。これに呼応するように麻生さんが雑誌等にひんぱんに登場して「麻生太郎ここにあり」と主張している。
おそらく解散総選挙は、サミットの終わった十月か十一月。来年七月には都議会議員選挙があり、与党である公明党は一年に二度の選挙は避けたいと、自民党に申し入れているはずだ。となれば、サミット終了後の秋に総選挙があると考えるのが自然だ。
だから、総選挙前に自民党内に波乱を起こそうという動きが、水面下で起きているのではないか。でなければ、いまの自民党の派閥を超えた連携等の動きは早すぎる。そうでもなければ、こんな退屈な政権下で、意欲も野心もある自民党の政治家が、動物園の動物のようにのんべんだらりとしていられるわけがない。
リベラルタイム4月号「this Month!」
※各媒体に掲載された記事を原文のまま掲載しています。
この記事を読んだ人は、こんな記事も読んでいます。
自民党中堅グループが描く「政局転換」の大胆シナリオ=高橋利行(政治評論家)(リベラルタイム) - 2008年2月5日 |
石破茂・防衛相 早くも後任候補の名が…(読売ウイークリー) - 2008年3月4日 |
鈴木宗男 永田町で「辞めろ」コールが起きないワケ(読売ウイークリー) - 2008年3月4日 |