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【愛知】

小児科2次救急 名古屋市の体制維持に危機

2008年3月7日

 全国的な小児科医不足の中、名古屋市の救急医療体制が危機的な状況に陥っている。本来は重症患者を受け入れる病院に軽症患者まで押し寄せて現場は悲鳴を上げており、市は予算措置など四月中にも緊急の対応を迫られている。

 休日や夜間の救急病院は三段階に分けられており「一次」は軽い病気やけが、「二次」は入院や手術を要する重症患者、「三次」は命にかかわるような重篤患者。このうち小児科の二次は市内十四病院が輪番で担当し、一日二病院が重症患者のため体制を整えている。

 市によると、女性小児科医の割合が増加したこともあり、どの病院も宿直や夜勤を組むのが年々厳しい環境になっている。四月分以降、三病院が月一、二日ずつ担当回数を減らしてほしいと申し入れたため、昨年末から新たに加わった病院に代わりを依頼するなどして何とか四月の体制を組んだ。

 ところが、今度は、最も多い月十四日間の土、日曜日、休日、夜間の「二次」を担当してきた名古屋第一赤十字病院が五月以降、四日に減らしたいとの意向を明らかにした。小林陽一郎院長は「平日夜間の患者のうち九割は軽症で、本来は一次で対応するべき患者。これでは医師や看護師が疲弊し、本来診るべき重症患者の対応に影響が出る」と話す。

 こうした状況を背景に、同病院はじめ市の二次体制を支える県病院協会は、現状は一病院当たり一日約七万円の市からの補助金の増額や、軽症患者が安易に「二次」を利用しないよう市民に啓発するよう強く求めている。

 市健康部も、市民が大手の病院に流れがちな傾向は認めており、市民に「一次」「二次」「三次」の役割の違いを説明する冊子の作成や配布を計画するほか、補助金の増額も検討。さらに市立病院を含めて、負担増に協力してくれる病院探しの行脚も続ける。

 (豊田雄二郎、藤沢有哉)

 

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