いつもはサバサバしてて男の子っぽいアンナの音楽は、時にとても繊細で女っぽい。いつもは大人しそうで女の子っぽいオリビアの音楽は、時にとても情熱的でパワフル。音楽というフィルターを通すことで、いつも人に見せているのとは違う部分の、もしかしたら“本当の”自分がでているのかな?
それはアンナも思う! オリビアは、声はすごく綺麗なのに、めちゃくちゃ力強いのよ、普段のイメージとのギャップにビックリする!
本当に? ありがとう。でも音楽って、自分では知らない部分の自分を発見させてくれるよね
うん。違う自分にTRIPしようって意識してやる訳じゃないんだけど、自然としてるよね。多分、音楽って真実しか映さないんだと思うの。だから、普段は“クソ食らえ〜”とか言ってるのに、音楽が、自分が秘めている“女っぽさ”のスイッチを入れてくれてるってのはあると思う。楽なんだよね、歌ってる時って。“アンナのことわかってよ”って、人に本当の自分を理解してもらうのは無理だから、音楽にその気持ちをぶつけるっていうかね
わかるなぁ。普段の自分と音楽の中の自分はまた違うもの。私もね、100%素直な気持ちで音楽を作るんだ。音楽では、嘘をつく必要がないでしょ? だから、普段の自分よりも、もっと自分に忠実なものというか
あぁ、一緒だぁ
特に、音楽をつくりながらものすごく感情的になれた時って、でき上がった曲にそれがそのまま出るんだよ。ピュアで素直で感情的な部分が、自分にも聴く人にも伝わるものができるの。だから逆にね、プレッシャーとか、不安とかを抱えながら作った曲には、それも出ちゃうんだよ。音楽ってすごくセンシティブ。敏感でもろいものなんだよね。
アンナ、『水からの伝言』って本、知ってる?
知ってる!! コップ一杯の水に、“LOVE”って言葉を言い続けたものと、“HATE”って言い続けたものを凍らせるとね、結晶の形が全然違うんだよね!
そうそう! 言葉だけじゃなくて、音楽でも実験していて愛に満ちた音楽を聴かせた水の結晶は本当に美しくて、怒りの音楽を聴かせた水の結晶は形がぐちゃぐちゃなの! 不思議だけど、音楽のパワーってすごいよねぇ
最後にふたりにとって、マインドトリップさせられる、パワーを感じる曲って?
ELUVIUMっていうワシントン出身の男性アーティストの音楽。リリックもなくて色んな音を重ねてつくったすごくクレイジーな音楽で、衝撃を受けるよ! いつも朝に聴くんだけど、“LIVE”と“DEATH”を両方感じるの。ものすごくスピリチャルな音楽で圧倒されるよ
へぇ〜! すごい興味ある。アンナはね、昔から聴いていて今でもフト聴きたくなるのはショパンの『革命』。悲しみも怒りも、いろんな感情を感じる曲で、“ショパンはどんな心境でこの曲を作ったんだろう”って考えさせられる。ものすごいエネルギーなんだもん!
私は落ちた時も悲しい時も、本当に音楽に救われて生きてきたよ
そうやって考えると、本当にラッキーだよね、音楽できて。アンナも音楽にいっぱい助けられてきて、それで今は歌うことで救われていて、どんな人がどんな時にアンナの曲を聴いてくれているのかはわからないけど、救われる気持ちになってくれている人がいることは、本当に嬉しいよ
撮影:小林ばく 取材・文:LiLy(http://lilylilylily.jugem.jp)