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正社員の雇用1000人規模か 東芝の北上新工場


 北上商工会議所(中村好雄会頭)は、東芝半導体新工場の北上建設決定を受けて、2月末に実施した三重県四日市市の視察研修報告をまとめた。四日市の東芝第4工場は北上に新設する施設と同規模とされる。視察結果をもとに波及効果を探ると、正社員雇用は千人規模で市税収入が増加。宿泊施設やタクシー業界にも直接的効果が期待される。一方で、人材確保と地場企業参入が課題となりそうだ。

 中村会頭と高屋敷克広専務理事の2人が2月29日、四日市商工会議所の案内で東芝工場を視察した。

 報告によると、四日市の4工場で正社員が3400人、うち市内雇用者は約2500人。正社員と派遣社員3000人余、工場設備関係者合わせて約8000人が従事している。

 東芝の広報資料では、第4工場稼働前は正社員が2200人だったことから、稼働後に1200人を雇用したことになる。北上新工場も同様に千人規模の新規雇用正社員が見込まれ、周辺従事者も含めると2000人程度の雇用が生み出されそうだ。ただ、新規大量雇用の期待は高まるが、人材供給への対応が課題となる。

 第4工場棟は幅250メートル、奥行き130メートルほどの建物。岩手東芝エレクトロニクスの現工場棟に隣接する北側グラウンドや駐車場を合わせると、その程度の広さは確保できそうだ。

 四日市市の製造品出荷額は東芝工場増設に伴い、2004年度1兆8000億円、05年度2兆1000億円、06年度2兆5000億円と大幅な増加をみせる。

 同市の税収は、雇用者増加や工場拡張によって個人市民税などの市税収入がアップ。対前年度の市税増収額は05年度35億円、06年度13億円、07年度45億円(当初予算見込み額)となっている。

 取引先関係者や建設業者の来訪で、市内のホテルやタクシー需要が急増。ホテルは満室、タクシーも予約しないと乗れないという。建設工事は大手ゼネコンが受注しているが、地元企業も参入しており、地元への経済効果が期待される。

 一方で関連企業の進出については、岩手東芝エレクトロニクスに関連する企業は立地済みで、既存企業の増設・拡大はあり得るが、新たな企業進出はほとんどないとの見通しだ。

 北上商工会議所の高屋敷専務理事は「どうやって地場企業が参入できるか、視察の結果をもとに市など関係団体とも相談しながら方策を検討したい」と知恵を絞る。

(2008/03/06)

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