世界の工場フィリピンと将来の不安

2008年03月03日 14:46
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 マニラ市で3月1日、大型海洋テーマパーク「マニラ・オーシャン・パーク」がオープンした。新しい観光の目玉になると期待されている。
 地元各紙によると、水族館の延べ床面積は8,000平方メートルで、アジア最大規模。フィリピン、東南アジア海域に生息する300種類の海洋生物を展示する。全長25メートルの水中トンネルが呼び物だ。1日当たり1万人以上の来場が可能という。開館時間は毎日午前10時から午後6時まで。大人400ペソ、子供350ペソ。年内には海洋をテーマにした商業施設やレストラン街を完成。マニラ湾を一望できるホテル、シュノーケルやダイビングができる「オープン・ウオーター・ハビタット」も建設する予定だ。
 フィリピン最大のモールである「Mall of Asia」には、サイエンス・パークが設置されている。ここでは、体の仕組み、ロボットの歴史などが学べ、プラネタリウムのような設備で天体について学ぶことができる。サイエンス・パークの入場料は、大人一人330ペソだったと思う。
 400ペソという金額だが、一般的なワーカーの昼食代がおおよそ60ペソから80ペソ、マカティ市の最低賃金が日給で390ペソくらいであることを考えると、とんでもなく高いといえる。子供たちをここへ連れて行きたいがために、親兄弟はとんでもなく苦労することになる。
 チャットなどでいろいろな人々と話していると、多くの人が海外で仕事を従っている。中には、本当にこの国を捨てたいと思っている人すらいるのだ。優秀な頭脳、優秀な働き手から、海外に流出している。もしこの国が、雇用と社会システムを改善できなければ、本当にとんでもないことになるのではないかと危惧する。
 IMIという電子機器の受託生産会社EMS(Electronics Manufacturing Service)でフィリピン最大の会社が、Panasonicからの生産を受託したため工場を増設した。先日、その開所式に招かれたので参加し、Panasonicの方にどうしてフィリピンを選んだのかをきいてみた。もちろん意志決定の際は多くの要素を考慮されただろうが、日本人駐在員の滞在コストが大きな要素の一つだったそうだ。ベトナムでは、住宅やその他、外国人向け価格がとんでもなく高いそうだ。
 フィリピンには、現地で部品などを組み立て、最終製品を海外に輸出する企業は、PEZA管轄の企業といって経済特区内で様々な優遇措置が受けられる。フィリピン人商工会議所の会員数を見ると、2000年に468社、2005年に517社、そして2007年4月現在で525社となっている。2006年の数字を見ると1434社がPEZAに登録されている。1994年にはわずか331社であるから、12年の間に3倍以上に急伸している。126のエコゾーンのうち、製造業専門ゾーンが55ヶ所、ITパークまたはITセンターが66ヶ所、旅行関連ゾーンが5ヶ所という内訳になっている。また、多くの工場ワーカーは6ヶ月単位の雇用契約で同じ特区内をぐるぐる回って仕事をしているような状況で、熟練のワーカーを調達するのも比較的簡単だ。多くの場合、エージェントから紹介を受け雇用しているようだ。
 このように中国と同様、世界の工場としての役割の一部をフィリピンは担っている。しかし、自分たち自身の手で電子機器、車、ハイテク関連製品をいつになったら製造できる国になるのだろうか?いつまで、海外企業にお金を払ってものを買い続けるのだろうか?このまま優秀な頭脳が流出し続ければ、この国の将来はどうなるのだろうか?私は外国人ではあるけれど、この国のポテンシャルを信じる者の一人として真剣に考えてしまう。

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若井 直樹(Naoki Wakai)
メインフレームでのソフトウェア開発に携わり、データクエス ト、ガートナーグループ、ITRなどでエンタープライズアプリケーション戦略を 分析。その後、シンクライアントメーカーにて市場開拓に寄与。
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