2008年03月06日

童貞力について

Pop is dead. 中高生とwebとの関わりについては少し前に少しだけ考えていて、僕なりに「こういうことだな」という認識がある。
 で、今日ITmediaにこんなニュースが載っていた。
「小学生が殺害予告」相次ぐ ネット犯罪が低年齢化 - ITmedia News
 別にこういう事の裏側には「子供の変容」があるわけではない、と思う。子供というのはそんなに変わっていなくて、単純に彼らに「悪意を放出するための『場』」が与えられただけなんじゃないか、と。
 で、全然違ってるかも知れないけれど、僕なりの解釈。中学生の、特に男子によるネット犯罪というのは「モテ力」や「童貞力」と密接に関わってるんじゃないか、ということ。
モテ力童貞力ポートフォリオ

 何が言いたいのかというと、中学生男子というのは「スポーツができればモテる」のです。上の表の1.モテ層は「ドラえもん」で言えば出来杉くん、2.準モテ層はジャイアンでしょうか。ジャイアンはモテないだろうという声もありそうですが、彼はモテキャラでしょう。中学生くらいなら、あの粗暴さも一部の女子から見れば美点の一つだと思います。
 いずれにせよ、1と2に該当する層というのは小中学生時代においてはモテる。で、運動会や昼休みのドッジボールや、あるいは部活という場において、自己顕示欲を満たすことができるわけです。

 今回問題にしたいのは3と4ですね。3.鬱屈層はスネ夫、4.被攻撃層はのび太でしょうか。小中学生にとって「勉強ができる」というのはモテ要素にはならないですね、5教科オール5で全くモテなかった私が言うのだから間違いありません。どういうわけだか、運動会で目立つ男子はモテるのに、勉強できてもスポーツができない男子はモテないのですね、これはそういうものだから仕方ない。
 で、この表の3と4に属する男子というのは中学時代、非常に童貞力を強めてゆくわけです。だいたい、中学生高校生くらいの男子にとって「モテ」は最重要課題であります。モテ層の男子が人生初めてのデートなんかを経験するこの頃、3と4の非モテ層に属する男子達は、溢れる自己顕示欲を抑えつけられ、好きな女子のことを思っては、マクラを濡らし、パンツを汚すわけですよ。

 男子にとって「他者に認められる」ということは、先生に認められるとか塾に求められるとかではなくて、クラスの人気者になる=女子にモテるということですから、どれだけ勉強ができても自己顕示欲が満たされることはないわけですね。で、この層に属する男というのはそれから何年もかけて「童貞力」を強めてゆくわけです。みうらじゅんがよく言う「童貞をこじらせる」というやつです。

 童貞力っていうのは、一言で言うと「自己による自己に対する評価 > 他者からの評価」な状態だと思います。
 こう書くと普通なんだけど、恋愛に関して言えば「俺がこんなに好きなのに、彼女はなんで振り向いてくれないんだ」とか「彼女を幸せにできるのは俺だけだ」とか「彼女のことを強く思えば、きっと俺のことを好きになってくれるはず」という、とんでもないことを信じてしまう力、そういうのが「童貞力」ですね。
 何ともならないことを、自分の思いだけで何とかできるだろうと思い込む、根拠のない思考回路、それが「童貞力」です。
 でも、実際は何ともならないんですよ、童貞力の強い人間ほどモテない。で、モテない男子ほど、どういうわけかさらに童貞特有の「思い込み」を強めるのですね、なぜか「あ、俺は間違ってたんだ」と気付くことなく、「なんで彼女は、俺の思いを理解してくれないんだ」という思いを強くする。サイコホラー級の話です。

 ちなみに、上表の4つの層を童貞力の強い順に並べると、3→4→2→1だと思います。中途半端に勉強ができる男子ほど、実際の行動を恐がり、また余計なことをグジグジ考える傾向にあるのではないか。そのお蔭で童貞をこじらせまくるのが3の鬱屈層だと。

 で、ネット上に物騒な書き込みをしちゃう中高生の男子っていうのは、僕はこういう層だと思うのですね。昔からこういう非モテ層っていうのは抑圧された自己顕示欲に悶え苦しんでいた。そういう欲を満たす場として、インターネットという「場」が与えられたに過ぎない。僕が中高生だった頃にwebがあったら、僕もフラれた腹いせに中傷書き込みとかなりすましとかしてそうだもの。考えるだけで恐ろしい。あの頃webがなくて良かった。
 結局の所、童貞男子諸君にとってwebは救いの場たり得たのだろうか?というようなことを思います。殺人予告書き込んで補導されちゃっちゃあ話になりませんが、中傷書き込みなんかをして彼らの自己顕示欲は満たされたのだろうか?これについては、本人に訊かないとよく分からない。

 さて、僕自身について言うと、11歳か12歳の頃から童貞を患い始めて20代半ばまでかけて童貞をこじらせまくったわけですが、あの頃webという「自分の中の何かを放出する場」が無かったことは幸運だと思っています。童貞を徹底的にこじらせ、自己顕示欲を抑圧されまくった人間にしかわからない人生というか、世界というのがあるのです。
 それはどういう世界か?と訊かれても残念ながら言葉では説明がつかないように思います。一言で言えば「ある種の優しさ」です。それは「恥を捨てる覚悟」とも言い換えられるかも知れない。誤解を招く書き方かも知れませんが。
 例えば、今あえてこのような記事を書く優しさというのは、童貞をこじらせた人間にしか無いと思うのです。だから敢えて今回僕は「童貞力」という言葉を使ったわけです。20代半ばまでにどれだけ童貞をこじらせ、童貞力を蓄えるかによって、その後の男としての価値が決まる、という側面があると僕は思っています。
 僕の持論、というか自分に言い聞かせてるんですが「10代20代でモテなかった男ほど、30代でモテる」のです。若い頃から中途半端にモテた男には味がない!と思う!思いたい!

 最後に、いかにして童貞を脱するかという話ですが、僕が考える「童貞を脱する」というのは単純にセックスを経験するか否かという話ではありません。上に述べたような童貞的な思い込みの間違いに気付き、自己に対してある程度妥当な評価を下せる状態になること、というのが僕にとって「脱童貞」です。
 こういうのっていうのは年月と恋愛経験に任せるしかないわけで、こうすれば脱出できる!というのはないでしょうね、そういう出口のない時期だからこそ、童貞期に意味がある、とも思うのです。

 ずっと考えていたことをやっと書いたぞ。気がつくと随分長文になってしまった。
この記事へのコメント
自分は3と4の中間に居た人間なんで、LSTYさんほど内面を掘り下げたりはしなかった様に思うのですが、多々共感いたしました。

また、30代からは実際3のがモテそうですよね。
実際、子供の頃は1に居た友人に15年ぶりに再開したのですが、勝手ながら、てっきりエリートになっているかと思いきや『普通』の人になっていたので仰天しました。
3に居た面々は、30代になってみると、本当に味がある奴が多いなあと感じます。
Posted by watan at 2008年03月06日 12:03
> 自己による自己に対する評価<他者からの評価

すみません、ここだけ分かりません。
不等号の向きが逆なら分かるのですが。
Posted by no-name at 2008年03月06日 15:56
■no-nameさま
 指摘ありがとう。修正しました。
Posted by LSTY at 2008年03月06日 16:49
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