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主張「広域化」を着実に推進

公明新聞:2008年3月6日

国民の安心支える消防体制に

自治体消防制度60年

 消防組織法が施行され、市町村消防を原則とするわが国の自治体消防制度が発足してから、明日7日で60周年を迎える。国民の安心・安全を確保する消防行政は、国の基本的な責務であり、安定した国民生活の基盤となる。この60年の間に災害の多様化・大規模化が進むなど、消防行政を取り巻く環境は大きく変化しているが、大規模地震・大規模災害に対する備えや消防防災・危機管理体制の強化、地域防災力の強化、救急救命の充実・高度化など、環境の変化に的確に対応した消防防災対策を今後とも積極的に展開してほしい。

 消防行政の中で、その根幹を担う市町村消防体制の強化策として、現在、進められているのが「消防の広域化」である。市町村合併の進展により、消防本部はやや減少したものの、管轄地域の人口が10万人未満=60%、10万~20万人=22%と、依然として小規模な消防本部が多数を占めている。

 小規模消防本部は出動体制や消防車両、専門要員の確保などに限界があり、大規模な災害などに対応し切れないなど、現在の消防ニーズに十分にこたえられない状況がある。そこで市町村の消防の広域化を推進するために、2006年の通常国会で消防組織法を改正。同改正法に基づき、12年度末の広域化実現をめざして都道府県による「消防広域化推進計画」の策定作業が行われている。

 広域化の実現により期待できるメリットは数多く挙げられる。まず、消防車などの初動出動台数の充実、応援体制の強化、現場到着時間の短縮などが図られるほか、大規模災害、特殊災害への対応も可能となり、住民サービスの向上につながる。また現場要員の増強も容易となり、救急救命士、火災原因調査専従員などの育成も進む。さらに、これまでは個別に小規模で必要最小限の設備しか整えられなかったが、特殊車両の増強、高機能な設備の一元的整備などができるようになる。

 実際、2000年に四つの消防本部を統合し、佐賀広域消防局を設置した佐賀地域では、消防本部の事務集約により、職員を効率的に配置できるようになり、警防要員の増員が可能に。長期の研修期間を要する救急救命士も多数養成でき、消防学校、消防大学の長期入校も容易になったという。

 また、大規模火災、多数負傷者事故への対応力も強化され、2004年7月に佐賀市の中心部で火災が発生した際には、消防車19台、消防隊員98人が現場に急行。同年10月の台風23号の通過時には、早朝から夕方にかけて76件の救急・救助活動を行っている。

 「消防広域化推進計画」は、47都道府県の大半がこの3月中に策定することになっている。策定された推進計画に基づき、来年度から対象市町村による広域化の検討が具体的に開始されることになる。12年度末(推進計画策定後5年度以内)の実現に向けて、都道府県、市町村が引き続き積極的に取り組むことで、住民のニーズに十分こたえる、機能的な消防の広域化が実現することを期待したい。

取り組む課題多い

 広域化以外にも、緊急消防援助隊の充実強化、被災地情報の収集能力の向上、テロ災害対応装備の整備、地域防災のである消防団員の充実強化など取り組むべき課題は数多い。公明党は、“一人の命を守る党”として、消防防災対策の一層の充実に全力で取り組んでいく決意だ。

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