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一般外来受診、自粛要請/公立刈田綜合病院

2008年03月06日

 白石と蔵王、七ケ宿の1市2町が運営する公立刈田総合病院が、住民らに軽い症状での一般外来の受診を「自粛」するよう求める異例のチラシを配布している。医師の退職が相次ぎ、在勤医師の負担が増えているためだ。チラシは「かかりつけ医」での受診を訴え、病院管理者の風間康静・白石市長は「医療ミスを防ぐためにも、開業医との役割分担を明確にしたい」と、苦しい胸の内を明かす。

 チラシは「地域医療を守るために」と題し、同病院の常勤医師が「昨年4月には38人いたのに、今春には25人前後に減少する見込み」と窮状を訴え、診察は「入院や手術を要する重症患者への対応を優先する」という。新患の受け付けは原則として午前のみで、それもかかりつけ医からの紹介状を持参した患者を優先するとした。

 夜間の救急外来にも言及している。風間市長によると、06年度の夜間診療の患者は救急車で搬送された1千人を含む約1万500人。来院者の中には「昼間は仕事があった」という理由で診療を受けにくる人もいるため、「夜間は一般外来ではない」と強調。現状が続けば、夜間の救急外来の縮小も検討課題になるという。

 同病院では昨秋、運営を巡る対立から、当時の院長や副院長ら幹部医師が相次いで退職し、現在の医師は32人。院長も不在の異常事態となっている。今後も医師研修の終了や個人病院の開業、他病院への異動などで数人が同病院を離れる見込みで、事態はいっそう深刻になる。研修医を今年度と来年度の2年間、1人も採用できなかったのも響いている。

 全国的な医師不足から、早期の医師補充は困難な状況で、当面は同病院の厳しい運営が続く。チラシには白石市医師会も名を連ね、協力姿勢をアピールしている。

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