研修中の歯科医に専門外の医療行為をさせたとして医師法違反(医師以外の医業禁止)の罪に問われた元市立札幌病院救命救急センター部長、松原泉被告(57)=札幌市豊平区西岡4の8=の控訴審で、札幌高裁は6日、罰金6万円を命じた1審・札幌地裁判決(03年3月)を支持し、弁護側の控訴を棄却した。矢村宏裁判長は判決理由で「医師の資格を持つ研修医と何ら区別されておらず、歯科医の研修方法としては極めてずさん」と述べた。
判決によると、松原被告は98年8月~01年2月、医師免許のない歯科医を研修医として同センターに受け入れ、計7人の患者に救急車内で気管内挿管などの医療行為をさせた。
この事件を契機に厚生労働省は1審判決後の03年9月、歯科医の救命救急研修の際に気管内挿管などの医療行為を条件付きで認めるガイドラインを策定。控訴審で弁護側は「ガイドラインによって違法性がないことが明らかにされた」と無罪を主張し、「そもそも医療行為を習得する研修を歯科医に行う必要性はない」とする検察側と全面的に対立していた。
矢村裁判長は歯科医が救命救急研修を受ける必要性は認めたが、「緊急度の高い救命救急センターで行うべきではない。ガイドラインに照らしても違法性は阻却されない」との見解を示した。【芳賀竜也】
2008年3月6日