岡山県内の自治体が設置する公立病院のうち、6割に当たる13病院の06年度決算が赤字だったことが、県国民健康保険団体連合会のまとめで分かった。各病院とも救急、過疎地対応など地域医療の根幹を担う一方、度重なる公的負担を受けても厳しい運営を強いられている実態が、改めて浮き彫りになった。 県下の公立病院は06年度、岡山、倉敷市など13市町に21病院(現在20病院)。このうち19病院に救急機能があり、民間病院では困難な過疎地、高度・先進医療など不採算部門にも率先して対応し、地域医療拠点として機能。金川病院(岡山市御津金川)など8病院が不採算地区の指定を受けている。 同年度決算の赤字が最も大きかったのは、美星国保病院(現在診療所、井原市美星町大倉)の1億7469万円。以下、玉野市民病院(玉野市宇野2丁目)、井原市民病院(井原市井原町)と続く。13病院の赤字総額は、10億9784万円だった。 経常ベースの損失は、井原市民病院の1億4828万円、玉野市民病院の1億4715万円、国保成羽病院(高梁市成羽町下原)の1億2855万円の順で、計9億2162万円。 一方、黒字だったのは8病院で、総額2億1890万円。黒字幅は、不採算地区ながら大原病院(美作市古町)の1億512万円が最大。同地区の日生病院(備前市日生町寒河)は3006万円、熊山病院(赤磐市松木)も749万円のプラスだった。 岡山市民病院(岡山市天瀬)は経常損失が1528万円あったが、3940万円の固定資産売却益など特別利益で黒字化した。 赤字額から黒字額を引くと、全体では8億7893万円のマイナス。ただ、各病院には自治体の一般、特別会計などから負担金が投入されており、負担なしでは運営が成り立たない現状となっている。 公的負担の総額となる他会計繰入金は34億457万円。このうち、必要経費として盛り込まれた負担金は9億6087万円。それでも運営が困難なため、19億4267万円の負担金、臨時措置の5億102万円の補助金が、追加で繰り入れられた。 病院別では、岡山市民病院の5億5115万円が最も多く、県立岡山病院(現在県精神科医療センター、岡山市鹿田本町)の5億2682万円、笠岡市民病院の3億2066万円の順。黒字8病院も負担金なしでは赤字になる計算で、全体の累計赤字は154億1988万円に及んでいる。 一方、美星国保病院を除く20病院が、365日間の入院診療を実施。年間の入院患者数は延べ74万2898人、外来患者数は131万2056人に上っている。