・・・すみません。小説やらサブカルやら、軽く読める本ばっかり紹介して。 とはいえ、私は『トンデモ本の世界』は、「宝島30」で連載されている頃からのファンであり、彼らの懐疑主義的かつ笑い飛ばす姿勢に深く共感している一人である。 ・・・が。 この『U』は全っ然、笑えへんぞ! てゆうか、読んだ本に対して、ツッコミを入れるのが基本的な姿勢やんね。 今までも、時にはスケプティックな良本を紹介することはないでもなかったが、今回は「他を批評した本」が妙に多い。それだけでなく、著者が楽しませようとしてそのとおりに楽しんでいるものとか、単純な批評とか、ツッコミどころがあるわけではなく退屈な(だけの)本の紹介とか、そんなんばっかり。 特に、『松本清張の陰謀』(佐藤一)の紹介はいただけない。 別にこの本がトンデモ本なわけでなく、かつ良書というわけでもなく、単にこの本に乗っかって永瀬唯が「左翼陰謀論史の輝ける巨人」松本清張批判を繰り広げているだけである。「きわめて素朴な反米論」と決め付けておきながら、自分は「きわめて素朴な左翼嫌い」と思わせる批判ぶりである。 考えてみれば、『日本の黒い霧』はただの推論で、視点の提供でもある。この本が出るまでの掲載事件に対する社会常識が何だったか知悉してないが、常識に対する懐疑主義的な立場を提供したということではないのか。 『日本の黒い霧』を鵜呑みにするのもバカだが、普通に懐疑主義的に読めばいいだけのことではないのか? 確かに「朝鮮戦争」や「伊藤律」については偏っている印象を私も受けた。しかし、それもその後明るみになった知識があった上での印象である。その他の章もすべてが正しいだろうなんて思わない。・・・しかし、だから何だというのだ? 別に清張を神様とも思ってないし、永瀬唯がこの中でバカにしている保阪正康の言うとおり、「『日本の黒い霧』というのは、そのすべてが事実であったかどうかは不明であるにしても、これらの事件の背後にアメリカの謀略があったのではないかという視点そのものは日本のジャーナリズム、あるいは作家との仕事として稀有のものであるといえる。事実の如何を問わず、この重要性をまず私たちは客観的に認めるべきではないかと思う」ということとしか思えないが。 ま、いずれにせよ、この章だけ明らかに「と学会」的態度から外れてるんやね〜。 保阪正康の『昭和史 七つの謎』についても一度感想を聞かせてほしいものですが。 あと、『血液型性格研究入門 血液型と性格は関係ないと言えるか』(白佐俊憲+井口拓自)も変。 これもこの本を批評したものではなく、まぁ良本のたぐいとして紹介されているのだが、最後に評者・志水一夫が言う。 「かつて能見正比古は、X型の性格は何ですかと訊く前に自分で周囲のX型の人をご覧なさい、という趣旨の発言をされていたと記憶する。 実際、自分でデータを収集して著名人を血液型別にリストアップしてみると、それなりに傾向があるように感じられ、しかもそれは能見などの著書にある記述とおおむね一致しているように見える。」 ええっ!?!? それって、おかしいやろ!? 懐疑主義的な立場をとれば、血液型を知らない人間の血液型を当ててみて、その正答率を検定するんちゃうんかい!? プラシーボ効果・・って知ってるよね。志水一夫ほどの人となれば。 てなわけで、『U』はめためた。 『V』は割と楽しめた。・・・って、こっちはほとんど筆者が山本弘や。 |
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