中日新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 政治 > 紙面から一覧 > 記事

ここから本文

【政治】

生体腎移植の診療報酬4割減 厚労省通知、医師は反発

2008年3月6日 朝刊

 厚生労働省は5日、新年度から生体腎移植の手術の診療報酬を4割以上引き下げると通知した。同省は「死体腎移植をより推進するため」とするが、死体腎移植が増えない現状で、さらに生体腎移植にもブレーキがかかることになりかねず、現場の医師から反発の声が上がっている。

 診療報酬は、公的医療保険を使って医者にかかった場合に適用される医療行為の「公定価格」。

 今回の改定で大きく変わったのは移植手術分の診療報酬で、改定前は生体腎移植も死体腎も同じ74万8000円だったが、4月からは生体腎は約35万円減の40万円となる。

 一方、「臓器提供者(ドナー)への負担が少ない」として腹腔(ふくくう)鏡下で摘出手術をした場合は新たに38万6000円が加算される。臓器提供者(ドナー)の安全管理にかかる費用として5万円も加算される。

 摘出と移植を合わせた手術では、死体腎移植は脳死の場合119万円、脳死以外の場合約145万円といずれも変更はなかった。生体では、摘出と移植を合わせた手術の診療報酬は、腹腔鏡手術をしない場合は約30万円(3割)下がり、腹腔鏡手術をした場合でも14万円下がる。

 2006年に国内で行われた腎移植手術は1136例で、うち8割を生体が占めている。

 移植は人工透析に比べて生存率が高いとされ、厚労省も移植を推進する路線を取ってきただけに、大きな方向転換となった。

 日本移植学会の寺岡慧理事長は「移植医療機関には大きな痛手。移植を増やしていこうとする流れに逆行することで、到底受け入れられない。腹腔鏡手術を評価するのはいいが、腹腔鏡をしない施設は致命的な打撃を受ける。早急に見直してほしい」と話した。

 

この記事を印刷する

広告