県消防防災課は5日、重症以上の患者のうち17%が病院に搬送されるまで2回以上のたらい回し(照会)にされ、最多では18回にも上ったケースがあったことを明らかにした。県議会総務常任委員会で、消防庁が都道府県に求めた07年の救急搬送の受け入れ実態調査の結果が公表された。
県は県内11消防本部の救急搬送を対象に医療機関の受け入れ状況を調べ、先月末、同庁に報告した。それによると、救急搬送(転院搬送を除く)されたのは6万4515人。このうち3週間以上の入院治療が必要な重症以上の患者は7464人で、2回以上の照会で病院に受け入れられたのは1269人に上った。受け入れ拒否が原因で死亡したケースはなかったという。
一方、軽症を含めた妊産婦、小児患者の搬送者数は5923人。このうち妊産婦の重症者で2回以上の照会を要したケースはゼロだったが、小児の重症者では22人あった。
18回もの照会を要したのは、深夜の交通事故で負傷した50代男性。救命センターを含む病院に照会したが「ベッド満床」「別患者対応」などを理由にことごとく受け入れられなかったという。最終的には地域の中核病院に収容され、その後、救命センターに転送された。
重症以上の患者の受け入れを病院が拒否した理由で最多は「処置困難」で398件、次いで「満床」355件、「手術中、患者対応中」301件、「専門外」272件と続く。
対策について、同課の榛沢保男課長は「受け入れ可能な医療機関の把握、搬送患者の状態の医療機関への伝達強化など、各消防本部と検討したい」と述べた。【木下訓明】
毎日新聞 2008年3月6日