第2次大戦の加害国ドイツと共同で歴史教科書を作る事に、被害国ポーランドが初めて意欲を示し、実現に向けて動き出しました。
これは5日、ポーランド教育省のスタノフスキー副大臣が、JNNの単独インタビューで明らかにしたものです。歴史学者でもあるスタノフスキー副大臣は、ポーランド政府内で隣国ドイツとの共同歴史教科書問題の責任者を務めています。
「共同歴史教科書は、ポーランドとドイツにとって必要です。お互いを理解するために、とても重要なのです」(ポーランド教育省、クシシトフ・スタノフスキー副大臣)
第2次大戦後のドイツは、加害国としての反省から、歴史教科書をめぐる隣国との国際対話に力を入れてきました。ポーランドとの対話は、冷戦中の1972年に始まり、専門家や研究者らによって歴史認識の違いを協議し、友好関係を深めながら現在も続けられています。
教科書委員会の成果は、相手の国の歴史を教える際に使用する「教員用の手引き」などに反映されましたが、隣国同士での教科書作成には、ポーランド政府の不信感が根強く、実現には至っていませんでした。
しかし、去年11月、ポーランドで政権交代が起こり、ドイツとの和解を掲げるトゥスク首相が就任したことで、この問題での進展を期待する声が高まっていました。
「(政府内では)すでに共同教科書作成の作業に入りました。3年以内に完了できると確信しています」(ポーランド教育省、クシシトフ・スタノフスキー副大臣)
共同歴史教科書に向けた本格的な作業は、早ければ来月にも首脳同士で合意する見通しです。36年に及ぶ粘り強い歴史対話が着実に実を結んでいます。(06日07:52)