ファシリテーションの道具箱 森時彦

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2008年03月06日 森時彦(チェンジ・マネジメント・コンサルティング代表取締役/リバーサイド・パートナーズ代表取締役)

職務分掌をスッキリさせる「日の丸分析」

 「マーケティング部の方は、それでいいですか?」と、Y課長が確認すると「我々もOKです。こうしてもらわないと……。人の問題もありますし、まわらないんですよ」と返事が返ってきた。

 あるべき論も重要だが、現場には「人の問題」や「さまざまな見えない実務上の課題」がある。そんな時でも当事者間で話し合いやすい仕掛けをしてやれば、この会社のようにお互いに融通を利かせて、全体がうまくまわるような方法を見つけることができるものだ。日の丸分析は単純なツールだが、そんな時に威力を発揮する。

【日の丸分析の実施上の注意事項】

(1)模造紙に図のように日の丸のような丸を大書して壁に張り、紙の上部にテーマを書く(「マーケティング部の仕事」など)

(2)参加者各自が、ポストイットなどに書いたものを日の丸の中か外かを判断して貼りつけながら、議論する

(3)ファシリテーターは、参加者ができるだけ具体的な表現(行動を表す表現)でポストイットに記入するようにアドバイスする

(4)そもそも論ではなく、必要な行動と誰がやるのかを現場に即して議論してもらう

(5)ノーマルな状態だけではなく、緊急事態などにどう対処するか(アブノーマル状態への対応)も問いかけよう。実は、アブノーマルな状態が非常に多いのが現場なのだ


 さて、これまでの全10回の連載では9つの「道具」を紹介してきたが、これにさらに書き加え、49の道具を紹介した一冊『ファシリテーターの道具箱』が、ダイヤモンド社から3月13日に発売されことになった。

 「読みやすく、困った時にパラパラとめくるとヒントになるように描く」ことをコンセプトに、見開きで1つの道具を紹介する構成にしたが、同時に実践的であることにもこだわった。同書が、日本の現場で活躍するファシリテーターの皆さんのお役に立つことを願ってやまない。

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バックナンバー

最終回 職務分掌をスッキリさせる「日の丸分析」 (2008年03月06日)
第9回 チームの意識を「可能なこと」に集中させるツール (2008年02月22日)
第8回 「プロコン」で賛成・反対の理由を全員で共有する (2008年01月30日)
第7回 「要素技術マッピング」で、 見えないボトルネックを見つける (2008年01月17日)
第6回 ステークホルダー分析で「障害」を取り除く (2007年12月27日)
第5回 「見えざる力」を分析して、実行力を高める (2007年12月13日)
第4回 思考の悪癖を「見える化」し、矯正する (2007年11月29日)
第3回 タンクモデルで全体像を把握しよう (2007年11月15日)
第2回 困ったときには、プロセスマッピング (2007年11月01日)
第1回 ファシリテーターは、どのように道具を選択するか? (2007年10月18日)

執筆者プロフィル

森時彦(チェンジ・マネジメント・コンサルティング代表取締役/リバーサイド・パートナーズ代表取締役)
写真:森時彦1952年大阪生まれ。大阪大学、マサチューセッツ工科大学卒。工学博士、経営学修士。日本GE役員、テラダイン日本法人代表取締役等を経て、チェンジ・マネジメント・コンサルティング代表取締役。2007年、中小企業の成長促進・事業承継に重点を置いた投資会社リバーサイド・パートナーズの代表取締役に就任。著書に『ザ・ファシリテーター』『ザ・ファシリテーター2』『ファシリテーター養成講座』(いずれもダイヤモンド社刊)などがある。

この連載について

ファシリテーションには、人の心に配慮するEQ的側面と議論の合理性を追求するIQ的側面がある。EQ的側面に配慮しながら、切れ味鋭い議論を促すためのツールを紹介する。

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