厚生労働省は3月5日、2008年度診療報酬改定に伴う新点数などを告示し、同日付で新しい診療報酬の運用に関する留意事項などを通知した。08年度の改定では、産科・小児科、病院勤務医対策などを重点的に評価する一方、再診料に上乗せする外来管理加算は「おおむね5分を超えて」直接診察することを算定要件に位置付けて算定を抑制させる。
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08年診療報酬改定案を答申
厚労省が5日に告示したのは「診療報酬の算定方法を定める件」など36項目。また、これに合わせて点数ごとの施設基準などを示した「診療報酬の算定方法の制定等に伴う実施上の留意事項について」などを通知した。
08年度の診療報酬改定では、本体部分の改定率を0.38%引き上げる一方、薬価等は1.2%引き下げることが決まっている。これにより、トータルでは0.82%の下げとなる。緊急課題に、▽産科・小児科への重点評価▽病院勤務医の軽減▽救急医療対策――などを位置付け、これらに対応する形に点数配分する。
■ハイリスク妊娠管理加算は1入院あたり20日が限度
このうち産科では、救急搬送された妊産婦を受け入れた場合の評価として「妊産婦緊急搬送入院加算」(入院初日5,000点)を、ハイリスク妊産婦に対する入院管理への評価として「ハイリスク妊娠管理加算」(1日1,000点)をそれぞれ新設する。
「妊産婦緊急搬送入院加算」は、産科か産婦人科を掲げる医療機関が算定する。
同加算について通知では「妊娠に係る異常が疑われ、救急車により当該保険医療機関に緊急搬送された場合」に算定すると規定した。また、他の医療機関で異常が認められた場合の緊急搬送についても算定を認める。
緊急分娩で「十分な経験」を積んだ産科医(産婦人科医)の配置や、搬送時に使用できる分娩設備の整備などが算定要件で、「妊産婦」にはお産を終えた「産褥(さんじょく)婦」も含める。
一方、ハイリスク妊娠管理加算は1入院につき20日を限度に算定する。保険適用される合併症がある妊娠22週から32週未満の早産(早産するまでの患者)などの妊婦で、ハイリスク妊娠管理が必要と医師が認めた場合が対象。妊婦には、「産褥(さんじょく)婦」は含まない。
■医療クラーク加算は勤務医の負担軽減計画策定などが条件
勤務医の事務負担を軽減させるため、補助者(医療クラーク)を配置した場合に評価する「医師事務作業補助体制加算」は、へき地医療拠点病院や地域医療支援病院など地域の中核的な急性期病院に算定を限定させる。
病院の一般病床数に対する医療クラークの配置割合に応じて105点〜355点(入院初日)を設定している=図。ただ、このうち355点を算定できるのは、3次救急医療機関や総合母子周産期母子医療センターなど高度な救急医療を担う病院のみ。
診療関連のデータ整理など、医療の質向上を見込んだ事務作業や診療記録代行などの業務を、医療クラークが医師の指示の下で専従により行う場合が算定対象になる。レセプト請求事務や窓口・受付業務などでは算定できない。医療クラークが派遣職員でも算定できるが、常勤職員並みの勤務を確保するのが条件。このほか、最低6か月間の研修の実施や、勤務医の負担軽減計画策定と勤務時間の把握なども求める。
■「外来管理加算」は“5分ルールを明記”
一方、いったんは08年度末の廃止が決まっていた現行の特殊疾患療養病棟入院料は「特殊疾患病棟入院料」に名前を改めて存続させる。
10月以降は、対象患者から脳卒中の後遺症や認知症の患者を除外する。ただ、1日1,943点を算定できる「特殊疾患病棟入院料T」では、これらの患者でも「意識障害レベルがJCS(Japan Coma Scale)でU-3(または30)」などの条件に該当する場合や、「閉じ込め症候群」など無動症の患者については引き続き算定を認める。
このほか、「外来管理加算」の算定では症状の確認や病状・療養上の注意点等に関する懇切丁寧な説明のほか、診療録への▽患者から聴取した内容や診察所見(要点)の記載▽外来管理加算の時間要件に該当する旨の記載―などを求める。
医師が実際に「おおむね5分を超えて」直接診察した場合に算定を認める(5分ルール)ことを明記。診察時間については「患者が診察室に入室した時点を診察開始時間、退室した時点を診察終了時間」とした。
更新:2008/03/05 21:55 キャリアブレイン
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08/01/25配信
高次脳機能障害に向き合う 医師・ノンフィクションライター山田規畝子
医師の山田規畝子さんは、脳卒中に伴う高次脳機能障害により外科医としての道を絶たれました。しかし医師として[自分にしかできない仕事]も見えてきたようです。