小学校六年で習った「革新」「善戦」などの漢字を中学校一年生が書けなかった。
昨日の本紙にベネッセ教育研究開発センターによる「漢字力」調査が紹介されていた。小学校六年間で学習する「学年別漢字配当表」千六字のうち、習った次の学年で書けるかどうか調べたところ、正答率は全体で57・9%だった。
普段の生活でなじみの薄い言葉に間違いが多い。中一が「革新」が書けない。政治ニュースを読んだり見たりしないのだろう。「蚕」は六割が書けたが「養蚕業」になると一割程度。製糸業が衰退したことが背景にあるようだ。
小一で習う「木」について「き」や「もく」なら小二は九割が書けたが「木のは(葉)」は3・3%。読みによっては成績が悪い。阪神大震災に見舞われた神戸の合言葉であった復興は、小学五年で習うが、小六で書けたのはほぼ一割だった。小二で習う「戸外」も小三は書けなかった。外で遊ばなくなったのか、心配になってくる。
調査では国語学習や読書についても聞いている。読書の好き嫌いは、あまり漢字能力に影響がない。むしろ読めない字を辞書などで調べる習慣のある児童の成績がよかった。保護者による幼児期の読み聞かせも効果があった。
漢字能力の衰えは国語能力の衰えにつながる。漢字能力を高めるには、生活体験を豊かにすることも重要といえそうだ。