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脱北者:売られていく北朝鮮の女性たち(中)

本紙取材班が明かす人身売買の実態(4/4)

 ユニさんが風呂敷包みをほどき、服を着て、靴を履く間に、ブローカーに金が手渡された。渡したのは韓国の脱北支援団体「トゥリハナ宣教会」のメンバーだ。この団体は女性を買おうとする中国人の代わりにブローカーに金を渡し、女性たちを脱出させている。ブローカーは札束を数えている。ちょうど5000元。飢えをしのぐため、25歳の若い女性が子を産む道具や働き手として一生を過ごすことの代価だ。これは北朝鮮の月給の30倍に相当する。このうちユニさんが借金した穀物代の半額、4万6000ウォン(約5000円)を除いた全額がブローカーに渡る。ブローカーは満足げに笑いながら、一言言った。「ちゃんと面倒を見てくれよ」。見守っていた取材チームの一人が吐き捨てた。「何だと? 面倒を見てくれだって?」

 翌日、身を潜めていた先でユニさんに会った。ユニさんはすでに脱北と強制送還を1回ずつ経験していた。「わたしが直接ブローカーのところに行き、売ってほしいと頼みました。穀物を300キロ借りましたが、返す当てがありませんでした。ブローカーが借金の半額を返してくれるというので…。あの男は同じ村の人です。家は中国の家のように裕福で、畑・ソファ・テレビ・冷蔵庫もあります。軍隊も保衛部も、あの男が女性を売り飛ばしているのを知っています」。それでも誰も男のことを告発しないという。なぜだろうか。「お金持ちが処罰されるはずはありません」

 川を渡った日、ユニさんはブローカーの後に付いて家を出た。昼食を取り、川岸の山に入り、二人で隠れていた。未明になると「山のふもとの北朝鮮側軍隊から合図の明かりがあった」という。そして月明かりを頼りに服を脱ぎ、川を渡り中国側に足を踏み入れた。これが2度目だ。

 「2006年に初めて売られました。山東省に住む34歳の中国人の男の所に売られましたが、半年後のある日、午前0時に公安(警察)が来ました。どうしてわたしを捕まえるのかと聞いたら、村人が通報したからだと答えました」。ユニさんはすぐに中国の丹東刑務所に入れられ、その後二人ずつ手錠でつながれたまま、新義州に送還された。北朝鮮保衛部で過ごした1カ月間について、ユニさんは体を震わせながら次の通り証言した。

特別取材チーム

朝鮮日報/朝鮮日報JNS
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