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脱北者:売られていく北朝鮮の女性たち(下)

本紙取材班が明かす人身売買の実態(4/4)

 「“性病検査をする”と血をボウル1杯分抜かれました。女性たちは服を全部脱がされ、ゴム手袋をはめた手で性器の中まで調べられました。立ったり座ったりを20回ほど繰り返せば中にあるものが全部出てきます。妊婦もいましたが、中国人の子を妊娠したということで強制的に流産させられました。トウモロコシ飯とおかずが1品出ましたが、一口で中国の刑務所で食べた食事が懐かしくなりました」

 ユニさんは咸鏡北道清津にある脱北者集団収容所に入れられ、1日17時間も強制労働をさせられた後、釈放された。だが、数カ月後、ユニさんは再びブローカーに身を委ねた。

 トゥリハナ宣教会メンバーがユニさんに慎重に語りかけた。「あなたを中国人に売り飛ばそうとしているのではありません。韓国に行きませんか」。するとユニさんは迷わず答えた。「わたしは最初に買ってくれた中国人の男の所に行きます。中国人とおなかいっぱい食べて暮らしながら、お金をためて故郷にいる家族に送ります」。ユニさんは韓国行きを断った。故郷に残っている目の不自由な老母と弟のため、ユニさんは中国に残る決心をした。トゥリハナ宣教会はユニさんに冬服を数着買い与え、無事を祈りつつ別れた。ムン・ユニ。彼女はこの10カ月間に取材チームが出会った人身売買被害女性の一人にすぎない。

 2008年1月、取材チームは中国・図們の豆満江で凍死した北朝鮮女性一人の死体を発見した。靴はなく、ただ足に布を巻き付け、いてついた豆満江の中央にうつぶせになって死んでいた。3月2日現在まで2カ月経過したが、彼女は誰も引き取り手がなく、寂しく川に放置されたままだ。地元の朝鮮族住民は「北朝鮮の食糧難以来10年ぶりに死体を見た。あの様子からすると、一人で脱北しようとして石に引っ掛かり死んだに違いない」という。2008年の中朝国境地帯。生きている女性の人身売買市場は随時開かれ、死んだ女性は誰も引き取らない。

特別取材チーム

朝鮮日報/朝鮮日報JNS
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