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脱北者:売られていく北朝鮮の女性たち(上)

本紙取材班が明かす人身売買の実態(4/4)

 「25歳なら5000人民元(約7万4000円)、値切るならよそを当たってくれ」

 取材チームがユニさんに会ったのは、中国・図們近くを流れる豆満江(中国名:図們江)沿いの場所で、旧暦正月15日の小正月まであと3日という日の未明だった。アシ原が風に揺れ、川では風の音がうなりを上げていた。月は明るいが、川向こうの村は闇に包まれていた。中朝国境警備隊の監視を避け、茂みに身を隠すこと4時間。白っぽい影二つが川の向こうのアシ原をくぐり抜け、川に入った。一つは前、もう一つはその後ろ。それは裸の人間だった。

 赤外線レンズがとらえた画面には人の姿が鮮明に写っていた。下半身の衣服をすべて脱いだ男と、ショーツだけの女性。裸同然の男女が川を渡っている。うねる川を細い足がやっとのことでかき分けている。男は後ろの女性の手を引いて歩く。いつのまにか川の水は腰にまで達した。すると女性は突然、立ち止まった。目まいがしたようだ。男は辺りを素早く見回し、手に力を入れ、女性を強く引っ張った。幅わずか40メートルの川を渡るのに10分以上かかった。

 男は北朝鮮の人身売買ブローカー、女性は男の「商品」だ。国境を越えた二人は寒さに震えながら、急いで手に持っていた服を着た。なぜ服を脱いで川を渡ったのだろうか。「ぬれたら駄目だから」。ブローカーはすぐ北朝鮮に戻らなければならない。服がぬれれば疑われるのは明白だ。女性もぬれてしまっては中国側ですぐに着替える服がない。だから二人は裸になった。「名前は?」「ムン・ユニです…ムン・ユニ」。女性はぶるぶると震えながら答えた。年齢は25歳だという。

 「25歳なら5000元だね」。人民元で5000元といえば、約68万ウォン(約7万4000円)だ。値段交渉しようとすると、男が怒り出した。「20歳から24歳までは7000元(約10万1000円)、30歳過ぎれば3000元(約4万3000円)だ。値切るつもりならよそへ行ってくれ」。男は定額料金を主張した。

特別取材チーム

朝鮮日報/朝鮮日報JNS
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