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スーパー歌舞伎:段治郎が「ヤマトタケル」 右近とダブルキャスト

 ◇師匠、猿之助と共通する生き方 一生懸命さ若さで演じる

 市川段治郎が3月の東京・新橋演舞場「ヤマトタケル」(梅原猛作、奈河彰輔監修、市川猿之助脚本・演出)で、市川右近とダブルキャストで主人公のヤマトタケルとタケヒコを演じる。

 「現代人も感動できる新作を、古典歌舞伎の手法と最先端の技術を駆使して上演しよう」と、市川猿之助が始めたのがスーパー歌舞伎。その第1作として1986年に初演された。

 段治郎は、初演当時は国立劇場歌舞伎俳優研修生。再々演の95年に初出演した。05年に今回と同様に右近がタケルのときは従者のタケヒコ、右近がタケヒコのときはタケルを演じた。

 大和の皇子、ヤマトタケルは父帝の怒りを買い、大和に従わない国々の征伐に次々と向かわされる。伊吹山の山神との戦いで深手を負い、帰還途中で命を落とし、魂は白い鳥となって昇天する。

 「前回は大役への抜てき続きの最中で、心の準備もなく、ただただ走り抜けてしまいました」と段治郎。

 悩んだのが、大鳥と化したタケルが自らの生涯を振り返る際に口にする「天翔(あまか)ける心」の解釈。作品の主題であり、戯曲を離れて今や段治郎の師、猿之助の人生のテーマともなっている。

 「3年間にいろいろな役を経験したことで、今はうっすらと見えてきたような気がします。師匠の生き方とイコールなのではないかと思えるんです」

 古典物の復活やスーパー歌舞伎の創作で、歌舞伎界を活性化し続けた猿之助は、病気療養中で舞台活動は休止しているが、今回の演出を担当する。

 「何の欲もなく理想を追い求め、芝居作りにも役を演じることにも一心不乱に突っ走る。それが師匠であり、タケルの生き方にもつながります」

 火攻め、激しい立ち回り、宙乗りなど全編が見せ場の連続だ。

 「歌舞伎のおもしろい要素が全部入っています。僕が師匠に勝てるとすれば、一生懸命さと若さしかない。正攻法でいきます」

 新橋演舞場(03・5565・6000)では5日から25日まで。4月が福岡・博多座、5月が大阪松竹座、6月が名古屋・中日劇場での上演となる。【小玉祥子】

毎日新聞 2008年3月4日 東京夕刊

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