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円高は日本の好機

2008年03月05日

 輸出頼りの日本経済の行く手に、暗雲が広がっている。

 米国経済は多くの指標が示すように、どうやら景気後退を避けられそうもない。サブプライムローンの不良債権化が進み、金融機関の自己資本の毀損(きそん)が激しく、米国の金融システムはほとんど機能不全といってもいい状況に近づいている。バーナンキ米FRB(連邦準備制度理事会)議長がさらなる利下げを示唆しているが、ドルが売られて下落傾向に歯止めが掛からない。

 一方、日本では円高による輸出企業の業績悪化を嫌い、株価の動きがさえない。日本経済はデフレ脱却宣言をしないまま再び水面下に沈むのか、懸念されている。

 しかし一歩踏み込んで日本の実情をみると、本格的な消費拡大による成長の機会が浮上する。円が切り上がると、輸出は減り、輸入は増える。その結果、経常収支の黒字の減少となり、その分国内生産は減少する。ここまでは教科書通りの話である。

 ところが、日本では指摘されないが、その先の展開がある。黒字が減少すると、資本輸出は不要となる。その結果、国内でその資金が消費に使われたとすると、その消費に見合う生産が増加する。すなわち、黒字の減少に見合って、減少する生産が代替される。国内の生産水準としては、実は変わらない。

 それどころか、円高は消費者の購買力を大きく増やす。

 第一に、輸入代金が円高によって大きく減少する。70兆円強の輸入代金は20%の円高で10兆円を超える節約となる。この分はまったく新しい購買力として期待される。

 第二に、円高に動いてしまえば、もはや金利を低く抑えておく必要はなくなり、金利が正常化される。利子所得が20兆円程度戻り、生活費の足しになろう。

 円高こそ、日本経済の成長率を高めることになる。(岳)

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