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吉越浩一郎氏に聞く〜労働管理の不在を残業が隠蔽している

経営トップも中間管理職も、マネジメントができていない

「残業ゼロ」の仕事力(日本能率協会マネジメントセンター)

吉越 ですから、中間管理職層が残業をなくそうとしても、トップが決断して支援しないと、なかなか進みません。勤務時間内に仕事が終わる体制を、トップが率先してつくらないと、組織内で整合性がとれなくなってきますから。

ただ、双六(すごろく)遊びで言う「上がり」の社長がこれを実行するのは、まず無理だと思います。社長自身が、そうして今まで働いてきていますから。大半は、「自分も残業してきた。もし残業をやめて、会社の売上高が落ち込んだらどうするんだ!」と考える。

そういう経営者に限って、「ボトムアップ」を唱えて、部下の意見には耳を傾けるぞみたいなアピールをしていますが、往々にして単なるポーズでしかない場合が多い。

── 中間管理職が部下に仕事を任せるときのやり方にも問題がある、とも指摘していらっしゃいます。

吉越 例えば、「ちょっと、これをやっといてくれる?」っていう仕事の任せ方があるでしょう。まるで「この辺、掃除しておいてくれる?」みたいな言い方でね。あれがいけません。上司が仕事を細切れで渡すから、部下は仕事の全体像が見えないし、どうやっていいか分からなくなる。それでは本当の意味で、仕事を任せたことにならない。

仕事は一定の分野や範囲で任せるもので、細切れで渡すものではありません。全体を任せたうえ、その中に「ちょっとこれ」的な仕事や掃除も含まれているべきです。

── つまり、経営トップも中間管理職も、本当の意味でのマネジメントができていない。その結果として、組織全体が低い生産性に甘んじていて、残業もなくならない。「名ばかり」管理職も減らない、ということですね。

吉越 おっしゃる通りです。経営はボトムアップではなく、CEOによるトップダウン型がいい、私はそう思います。そして組織はできるだけフラットにして、役職名ではなく、「○○さん」と互いに呼び合う。そんな横の連係ができる体制をつくる。そうすれば、会社は自然とスピ―ドアップできる。管理職も、部下に対して適切に仕事を任せられるようになってくるはずです。

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