年収は500万円、不足分は隔週の引越しアルバイト〜大手ソフト会社
会社は、現在の仕事が進行している間に、同じ取引先で別の仕事を見つけて、追加受注できるように考えろという。
「上司は、そのためにも、『時々、お客さんと飲みに行くようにしろ』とか言うわけですよ。そのくせ、飲み代は自己負担。信じられないでしょう! まさに『名ばかり』管理職ですよ。『それで仕事を取ってきたら、それ相応のボーナスをはずむ』って上司は言いますが、そんな口約束を誰が信用できますか。飲み代を自己負担できるような給料払ってから、言ってもらいたいですよ」(坂口さん)
月2万円の引越し屋のアルバイト
経営者と一体の立場にはなく、労働時間の自由裁量もない。取引先では時給換算で働いている。部下の人事権もない。管理職手当ても微々たるもの。坂口さんの場合も、東京地裁の管理職の3条件は満たしていない。
「派遣社員のフォローも、新たに業務に加わりました。派遣社員が突然休んだり、辞めたりしたら、新しい人が来るまで、私が、派遣の仕事を手伝うこともあります。上司からは『取りあえず、我慢して頑張ってほしい』と言われます。でも、それって、アルバイトが休んだら、その代わりに働くマクドナルドの店長と同じですよね」
先日、部下の女性社員から、「この会社の人とだけは結婚したくない」と真顔で言われた。
そんな坂口さんの最近の楽しみは、週末副業。
月2日ほど行う、引越し作業を手伝うアルバイトだ。1日の日当が1万円。ただ、けっこう重労働なので、肉体的には疲れる。そのため隔週ごとに仕事して毎月2万円の臨時収入。それで消えた残業代の3分の1を取り戻し、子供の教育資金として積み立てている。
「マクドナルドの店長と比べると、健康面はまだ問題ないし、週末に家族と過ごせる時間もある。ぜいたくを言えばキリがないから、コツコツやるしかないでしょうね」
坂口さんは、自分に言い聞かせるようにそう結んだ。
特集第3部では、「吉越浩一郎氏に聞く〜労働管理の不在を残業が隠蔽している」を掲載中です。
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