一般職より100万円も年収が少ない管理職〜有名百貨店にて
管理職に昇進した年度は、残業代が付かず、前年より減収になる。そんな話はよく聞く。だが、残業代だけでなく、自分一人の力ではどうしようもない店舗業績の責任まで負わされて、須貝さんは当分増収になる見込みがない。そうなると、副店長とは責任が重いだけで、ただの「名誉職」でしかない。
彼の勤める百貨店の場合、副店長職から降格させられて、ふたたび一般事務職などに異動というケースも多い。管理職からの降格はカッコ悪いが、年収などの待遇面で見ればけっして悪くない。なぜなら、かつて残業が多かったころ、当時一般職だった須貝さんは、現在より年収が150万円多かったことがあるからだ。
「店舗業績が下手に上向かず、降格させられて一般職に戻った方が幸せかなぁと考えることが、正直ありますね。こんな低いモチベ—ションじゃあダメなんでしょうけど……」
彼の部下たちも、そんな副店長の実態を目の当たりにしているせいか、誰も管理職になりたがらないという。
その一方、職場内では、係長クラスを対象に、会社がホワイトカラーエグゼンプションを導入しようとしているという噂がある(関連記事)。
「一定の成果さえ出せば、勤務時間は自己裁量で、残業代は定額制という、あの制度ですよ。“残業代ゼロ法案”とも呼ばれた…。『一定の成果』というのがクセモノで、裏返せば、成果が上げられないと死ぬほど残業してください、ということでしょう。これも明らかに残業代圧縮策の一つだと思いますね」
かつて須貝さんが勤める店舗では、業務の繁忙度合いに合わせて、アルバイトの人数を増減させていた。もし、ホワイトカラーエグゼンプションが導入されれば、その対象となる係長クラスの残業代は、その時間の多少にかかわらず定額になる。そうなると、繁忙期にアルバイトを増やす代わりに、自分たちがこき使われるのではないか──係長クラスの間では、そんな疑心暗鬼が生じているという。
警察での取り調べ協力も、管理職の仕事!?
百貨店で多いのが、商品の窃盗犯。店内で窃盗犯を逮捕すると、時間帯によっては、管理職である須貝さんに大きなしわ寄せがくるという。
「万引きを捕まえるのは、できれば夕方5時までにしてもらいんですよ。夜8時を過ぎると、ぼくが自宅へ帰るのも深夜過ぎになってしまうので……」
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