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一般職より100万円も年収が少ない管理職〜有名百貨店にて

「マクドナルドの店長は管理職には当らない」──今年1月28日、東京地裁が一つの判決を出した。

ハンバーガーチェーン最大手、日本マクドナルドの埼玉県内の店長(46歳)が、「店長を管理監督者(管理職)として扱い、残業代を支払わないのは不当」として、2年間の未払い残業代や慰謝料など、約1350万円の支払いを同社に求めた。

東京地裁は、「同店長は管理職には当らない」として、日本マクドナルド社に対して、残業代など約750万円の支払いを命じた。この店長の場合、管理職とは名ばかりで、実態は店舗責任者として労務管理や店舗運営をする立場にとどまる、と認定したためだ。

この判決を受けて、他の外食チェーン店などへの影響を指摘する報道が多くあった。 だが、影響は外食チェーン店にとどまらない。今回取材してみると、有名百貨店や大手ソフト会社でも、似たような「名ばかり」管理職が多数居ることが分かった。この連載では、それらの実態を伝える。加えて、前トリンプインターナショナルジャパン社長、吉越浩一郎氏へのインタヴューを交え、残業慣習を成立させている経営者と従業員双方の原因についても考える。

副店長はただの名誉職

「やっと、『名ばかり』管理職の実態が、表ざたになったか」

残業代の支払いを求めたマクドナルドの店長が勝訴したニュースを聞いたとき、須貝正信さん(仮名、42歳)はそう思ったという。彼が勤めるのは誰もがその名を知る百貨店だ。一昨年、地方店舗の副店長に抜擢され、初めて管理職になった。

「管理職になると、会社からは『自分も経営者だという意識をもって働け!』と言われる。だけど、いたずらに仕事量と残業時間が増えるだけで、待遇面ではまるで報われない。マクドナルドだけじゃないんです。多くの『名ばかり』管理職が、おかしいと思っていながら、なかなか口にできないでいるのでしょう」

そう話す須貝さんも、副店長に抜擢された当初はやる気満々だった。

だが、管理職だから拘束時間は一般職より当然長く、午前10時から午後10時まで会社に居なければならない。勤務時間の自由裁量はゼロ。部下の人事も、会社が判断して決める。部下がよほどの不祥事を起こさないかぎり、副店長が人事権を行使する場面はない。

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