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一般職より100万円も年収が少ない管理職〜有名百貨店にて

今回のマクドナルド店長による請求訴訟で、東京地裁は「管理監督者(労働基準法上の<管理職>)」の定義として、3つの条件を挙げている。

  1. 経営や労務管理について経営者と一体的な立場なのか。
  2. 勤務時間の自由裁量があるか。
  3. 職務の重要性に見合う手当てが支給されているか。

それら3つの条件をすべて満たせば、「管理監督者」、すなわち「管理職」に該当するというわけだ。

この定義に基づいて考えれば、須貝さんは管理職ではない。部下の人事権は事実上ない。実際には、経営陣から設定される売上や利益目標を達成してナンボの世界。つまり、経営について経営者と一体的な立場とは言えない。勤務時間の自由裁量もない。

職務の重要性に見合う手当ての支給についても、彼はこう話す。

「管理職手当てはあります。しかし、残業代が上乗せされる一般職の部下の方が、年収は明らかに多い。同じ課で同じ時間働いているのに、管理職の自分より、一般職の部下の方が年収で約100万円も多ければ、誰だってやる気なくなりますよ」

昔は、課長に昇進すれば、管理職手当ても含めて年収は1200万円から1500万円だった。それが今では、課長職でも、人によっては1000万円を切る場合もある。須貝さんの年収も900万円超。

他業界の管理職に比べれば、須貝さんの年収は恵まれている方かもしれない。だが、同じ課の部下より約100万円も年収が少なくては、職務の重要性に見合う手当てが支給されているとは言い難い。3条件とも満たさない須貝さんも、「名ばかり」管理職の一人に数えられる。

管理職になりたがらない部下たち

年収格差は、残業代分だけではない。

彼が勤める百貨店は、成果主義の賃金体系に加え、管理職に限って勤務先店舗の業績に連動する仕組みを取り入れている。彼の店舗は業績が長らく低迷しており、その年収は、「全体責任」の名の下に抑制されている部分もある。拘束時間が長いから、時給換算すれば5000円程度じゃないいでしょうか、と須貝さんは投げやりな表情で続ける。

「昔は、一般職に残業代が付けられない不文律があり、サ—ビス残業の温床になっていたんです。それが数年前から、労働基準監督署のチェックが厳しくなり、一般職の残業代が、ある程度は認められるようになりました。その代わりに、管理職手当てなどが抑制されるようになったと聞きました。一般職に残業代を支給するようになって膨らんだ人件費を、経営陣は、管理職手当ての圧縮で多少なりとも相殺しようとしている、というのが社内での噂です」

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