今を支える実績に感謝を
実はこのとき、清岡の奥さんも会場にいました。彼女にも夫の晴れ姿を見てもらおう、ひいては夫を尊敬する契機にしてもらおうと思ったからです。清岡に限らず、お父さんなんてどうせ家庭では疎ましがられているものですからね。清岡だけ夫人同伴とすると怪しまれるので、「役員・幹部社員は奥さんを連れてくること」としました。
清岡の武蔵野での貢献、笑える失敗談などのエピソードを大量にちりばめたスライドが終了すると、わたしは清岡夫妻を壇上に呼びました。そして「30年間有難うございました」といって金一封を渡した。「これで夫婦水入らずで海外旅行に行ってください」と、長期休暇も一緒にプレゼント。
この時点で会場では、清岡に育てられた幹部社員たちのスタンディングオベーションです。清岡は感極まって涙ぐんでおり、その後のスピーチも二言、三言を話すのがやっとでした。これは「いつも話の長い清岡さんが」と、社内ではちょっとした語りぐさにもなりました。
多くの会社が表彰するのは「現在頑張っている人」だけです。その人が輝くことができたのは、先輩の指導があればこそです。もちろん、頑張っている人を表彰するのは正しいです。しかし頑張っている人「だけ」しか表彰しないのは間違いです。陰で支えてくれた人を見失っている社長は多い。
もちろん清岡は、いまでは先頭に立ってバリバリ注文を取ってくるような仕事はしていない。けれども彼が部下を30年にわたって薫陶し続けた実績があるからこそ、現在の武蔵野がある。その事実に対して感謝をすること、感謝を形にして見せることは経営者として当然の務めです。
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