日本看護協会(日看協、久常節子会長)はこのほど、医療事故の原因を調べる第三者機関「医療安全調査委員会(仮称)」の設置に賛成するとともに、同委員会への看護職員の参加を求める意見を発表した。楠本万里子常任理事は「遺族を精神的に支えていく上でも、病院のシステムエラーを判断する上でも看護師の役割が重要」と述べ、医療事故の調査に看護職員が参加する必要性を強調した。
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日看協、「やっと250円」 医療事故の原因を警察とは別の第三者機関が調べ、再発防止や被害者救済などにつなげる制度をつくるため、厚生労働省は昨年4月に「診療行為に関連した死亡に係る死因究明等の在り方に関する検討会」を設置し、検討を進めている。
日看協は2月28日に会見を開き、厚労省の検討会の委員を務めている楠本常任理事が次のように述べた。
「先般、国立大学病院などの医学部長会議で『議論をしっかりやるべきだ』との反対意見が出されたほか、患者団体から『早期の実現を望む』との意見もあり、さまざまな意見が対立している状況だ。その中で、当協会は調査委員会の設置を支援する立場をとっている」
楠本常任理事はこのように述べ、医療事故の専門的な調査を行う「医療安全調査委員会(仮称)」の設置に賛成した。
その上で、院内の事故調査委員会の役割に触れ、「医療安全調査委員会が機能するためには、すべての医療機関が院内の調査委員会を立ち上げる必要がある。事故のプロセスを調べ、システムの不具合を確認し、情報を共有するという文化をつくらないといけない」と述べ、医療安全調査委員会が院内の委員会を支援する体制が必要とした。
また、大学病院のような一定規模の病院に対しては院内の調査委員会の設置を義務付けるほか、自力による調査委員会の立ち上げが難しい医療機関に対して地域の支援体制を整える必要性を指摘した。
楠本常任理事は「真相の究明や謝罪、再発防止などの遺族の願いに応える努力を進めるべきだ。看護職が患者とともに医療の質を高めていく必要がある」と述べ、医療安全調査委員会と院内の調査委員会の双方に看護職員が参加することを求めた。
医療安全調査委員会には、さまざまな利害関係者や多様な専門職が関与する。既に国内8か所で行われている死因調査のモデル事業では、『調整看護師』と呼ばれる看護師が病理医や遺族などの橋渡しをしているという。
楠本常任理事は「調査結果が出るまでの間、ご遺族を精神的に支えていくなど調整看護師は高い評価を受けている。病院のシステムエラーを判断する上でも、施設のシステムを熟知している看護師の役割が重要だ」と述べ、看護師の参画を強く求めた。
更新:2008/03/03 14:05 キャリアブレイン
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