行政や医療機関などの関係者でつくる上伊那地域医療問題懇談会(会長・小坂樫男上伊那広域連合長)の総会は4日、伊那市のいなっせで開いた。4月以降の上伊那の産科医療の連携体制に関し、今月末で分娩(ぶんべん)取り扱いを休止する昭和伊南総合病院(駒ケ根市)で非常勤産科医の確保にめどが立ち、妊婦健診は継続していく方針が報告された。辰野総合病院(辰野町)も、新年度から本格的に妊婦健診に対応していくという。
昭和伊南の千葉茂俊院長によると、週3日、非常勤の産科医1人が勤務する。4月から常勤の産科医が1人増の5人体制となる伊那中央病院(伊那市)から2日、信大(松本市)から1日派遣される見通しで、引き続き妊婦健診は行う。
辰野は信大を主体とした非常勤産科医の派遣が現行の週5日から4日に減るが、新たに妊婦健診を始めることになり、2月から徐々に対応を始めているという。
上伊那では医療機関で役割を分担し、産科医不足に対応する体制を決めた。伊那中央が拠点病院となり、健診からハイリスク分娩まで対応し、昭和伊南や辰野は健診を担うことになっている。昭和伊南は非常勤産科医確保の見通しが不透明だった。
公立3病院のあり方も議論になった。
上伊那医師会の神山公秀会長は「医療資源を有効に使うべく全郡的に検討を」と述べ、昭和伊南の千葉院長は「連携強化病院への医師の集約化の影の部分も県として取り上げてほしい。医師会は全域を眺めながらやってほしい」と要望した。
駒ケ根市の杉本幸治市長は「それぞれの病院が拠点として一生懸命やっている。県はそれを認識してほしい」、小坂会長は「医師不足で上伊那の3病院が共倒れになる危機感がある。上伊那の現状は大変で、県や信大は優先的に対応を」と注文を付けた。
伊那中央は、救急部の常勤医師が4月から1人減の3人体制となることも報告。「24時間365日の体制は不可能になる。1次、2次、3次医療の住み分けを明確にしてほしい」とした。