宇宙飛行士になりませんか。宇宙航空研究開発機構が日本人宇宙飛行士の募集を発表した。十年ぶりのことである。
高度約四百キロを回る国際宇宙ステーションに長期間滞在して維持管理や修理、科学実験などに当たる。採用人数は最大三人。四月一日に要項を発表して募集を始め、来年二月に選考結果を発表する。合格者は米国での訓練などを経た後に宇宙飛行士に認定される。
日本人宇宙飛行士は一九八三―九八年の四回の募集で、毛利衛さんや向井千秋さんら計八人が選ばれ活動の場を広げてきた。今回の募集によって宇宙飛行士が、また一歩近い存在になりそうだ。
日本の宇宙開発は今年大きな節目を迎えようとしている。日本初の有人宇宙施設としてステーションに建設する実験棟「きぼう」の組み立てが始まるからだ。十一日には、第一弾として土井隆雄さんの搭乗するスペースシャトルで保管室を運び取り付ける。待ちに待った時だ。
「きぼう」の役目は研究の成果を示すことはもちろんだが、次世代に宇宙の魅力を伝えることにあろう。日本人宇宙飛行士たちを見ても、子どものころ抱いた天体やロケットなどへの興味の芽生えを、成長とともに大きく育てた例が多い。
とかく夢が描きにくい時代となっている。宇宙から日本の科学技術を通して子どもたちの心に「きぼう」を届けてもらいたい。