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文協ビルの改築構想 近代的モダンな外観に
 《百周年記念事業へ押し上げ》

 【一部既報】サンパウロ市にあるブラジル日本文化福祉協会ビル(通称文協ビル)の改修事業が移民百周年の目玉事業に急浮上した。ブラジル日本文化福祉協会(上原幸啓会長)評議員会(大原毅会長)が九日、定期評議員会を開き、席上、同協会執行部が進めている文協ビル改修案を移民百周年記念事業に押し上げることを前提にした委員会設置を決めたため、同協会を中心に検討作業が始まっている。「日伯総合センター」のビラ・レオポルジーナ区での設立案当時から文協ビル改修が話題に上り、昨年の文協創立五十周年事業として記念講堂などの改修事業が組み込まれたが、資金が調達できず頓挫した。「先駆移民が残した文協ビルという遺産を有効活用するための最後のチャンス」と意気込む賛成派と「いまさら、文協ビルではないだろう。移民百周年はサンパウロが中心ではない」とする反対派のせめぎあいが予想されるが、来年一月末の移民百周年事業案決定まで行方が注目される。

 《総額350万ドルを計上 難関は資金捻出と反対派説得》

 文協は今年に入り、内部の大講堂などの改修だけではなく、外観を含めた大掛かりな改修を計画、建設会社などに見積もりを依頼、九月に総額三百五十万ドル(約七百五十二万レアル)にのぼるビル改修暫定案が出来上がった。しかし、文協執行部では「内部での資金調達が難しい」と棚上げにし、九日に開かれた評議員会に提出した来年度予算案に組み込まなかった。

 ところが、評議員の小山昭朗ブラジル・ニッポン移住者協会会長が、「文協ビルを移民百周年記念事業にしないのか」と質問、これに対して文協の関根隆範第一副会長は、「改修は全てに優先する。役員会で検討済みで外装だけでなく、内装、講堂などについて改装を念願している。しかし、費用が大きく、不可能だと判断した」と経緯を説明した。

 小山会長は、「この改修事業は移民百周年事業以外ではできない」として、同改修案を移民百周年事業に申請するため検討委員会の設置を求めた。このため、評議員会では文協執行部と評議員会で委員会の設置を決め、今後、検討することを承認した。

 ブラジル日本移民百周年記念協会は、来年一月末には移民百周年記念事業を決め、サンパウロ総領事館に提出するとともに一般に公表する日程を組んでおり、時間的に間にあうのかが焦点になる。文協の委員会が移民百周年記念事業に申請することを決めたとしても、移民百周年記念協会の執行委員会が受け付け、その後理事会、総会にかけて正式決定するというプロセスが必要になるが、時間的余裕がないことから執行委員会、理事会で決定するではないかとみられている。

 関係者の説明によれば、同改修案は、改修開始から一年間あれば完成するとしており、移民百周年の二〇〇八年六月に日本から移民百周年記念式典に臨席される皇族をお迎えして歓迎会が実施できる。

 ただ、今回作成した改築案は暫定案で、外装にしろ、内部改築にしろ、今後変更される可能性があり、改装を開始するためには基本設計から行わなければならず、資金調達の目途がない状況で、基本設計料を先行投資として行わざるを得ず、どう工面するかという直近の問題にぶち当たる。

 今回、文協評議員会が同改修案を移民百周年記念事業に押し上げようとしたのは二つの理由がある。まず、移民百周年にご来伯される皇族をはじめ主要慶祝使節団を歓迎するにも現在の文協ビルでは見栄えが悪く、同ビル内のエレベーターでは皇族が使用できる状態ではないとの判断が働いている。

 また、文協が移民百周年に対して積極的でないことに対する不満が評議員側にあり、文協が移民百周年と深くかかわりを持たせるためにも同ビル改修を移民百周年事業にすることが不可欠と判断した。

 同ビル改修を移民百周年記念事業に組み込むのに賛成している人たちは、「式典とイベントだけででは夢がない。後世に残るものがなければ資金集めも難しい」「文協ビル改修は、先駆者の人たちが遺した財産を有効活用することになり、過去から現在、そして未来へ繋ぐ象徴的な事業としてコンセンサスは得られる」と実現に向けて根回しを開始している。

 これに対して、反対派からは、「赤字続きの文協は泥舟。こんな協会に三百五十万ドルもの大金をつぎ込むのは無駄だ」「『箱物』四件を棚上げにしておきながら文協ビルを移民百周年記念事業にすることがコンセンサスを得られるのか」「サンパウロばかりに大きな事業を集中させるのは問題がある」などの声が上がっている。

 [文協ビル改修案概要]

 掲載したイラストはあくまでも一案に過ぎず、今後の議論を重ねていく過程で変更される可能性がある。 外装は、写真のように一新される。まず、正面玄関は大講堂に入る階段入り口になる。そして、現在の庭園を取り壊し、車寄せを作り、援協診療所前の部分を通り、ガルボンブエノ街に抜けるように設計されている。

 同ビルの歴史的な部分を残すため、一九五〇年代から六〇年代の代表的な建築様式のみられる右側の一階から二階部分までの外壁をそのまま残し、他の部分を近代的なガラス張りにする。

 内部の改修は、地上階の文協事務局部分を会員が使用できるロビーとして、応接セットを置き、事務局を二階に移す。記念講堂は椅子を大きくし、舞台も広くしてエアコンを入れる。 また、記念講堂には楽屋がなく要望が多いことから、駐車場手前にある展示室を会議室兼楽屋に使えるよう内部を改装する。

 さらに、エレベーターを地下階まで伸ばし、取り替える。

 〔写真:近代的な外観となる文協ビル改修の外観例〕
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