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医師が危ない
第2部・過酷な現場A
2008年02月28日付・夕刊

 (8)救急車 来る

救急外来に運び込まれる患者(高知市池、高知医療センター)  高知医療センター脳神経外科の密着取材の許可が下りた。溝渕雅之医師(48)は「現場は歓迎してますよ」と言いながら、くぎを刺してきた。

 「今の時代は患者さんのプライバシーが難しいですから」

 このため、取材開始にあたっては院内各所に院長名で「マスコミ取材のお知らせ」の紙が張り出されたほか、私は社名入りの腕章を着用。さらに取材予定部門には、事前に溝渕医師が作成した文書を配布した。

 〈患者さんの病気のことは根掘り葉掘り聞きません。邪魔な時は邪魔と明言してください〉

 見られたくない場面もあるだろうし、仕事の妨げになったら大変だ。ピリピリムードの中、取材は始まったが…。記者の存在を気にするほど現場は暇ではなかった。

  ◇  ◇

 初日は一泊二日で、溝渕医師の当直(午後五時十五分―午前八時半)に密着した。

 本当に忙しいのか?

 「来る来る。救急車はいっぱい来ますよ。多くて十台、少なくても六台ぐらいかな」

 ただ、残暑の季節は脳外科の閑散期だという。

 「脳卒中の一番の危険因子は、高血圧などの血圧変動。急に寒くなって血管が収縮すると血圧が上がるから。夏は熱中症にはなるけど、脳は結構、大丈夫なんです」

 だとすると、忙しさはさほどでないかも…。

 午後九時前、溝渕医師が二階の医局ソファでカップラーメンを食べ始めた途端PHSが鳴った。

 「溝渕ですけど。六十×歳、くも膜下出血。四十分から一時間後ね。分かりました」

 郡部の病院から、救急車で転送依頼の連絡だ。

 「状態診て、向こうの病院で撮ったCT見て、それからどうするかだなあ」とつぶやき、誰かにPHSで連絡を始めた。

 「転倒して、良くなったと思ったらけいれんが来て、CT撮ったら脳室に血腫が穿破(せんぱ)してるというんですわ」

 分かりやすく言うと、動脈瘤(りゅう)破裂で血液が、脳脊髄(せきずい)液のたまっている脳室の壁を突き破って、その中へ噴き出しているらしい。

 「こん睡状態に近く、瞳孔散大してきているということなんで。くも膜下出血の激しいのが出て、さらにもう一回、破裂しているのかも。こっちでMRIを撮るかどうかですね」

 電話の相手は上司の森本雅徳脳外科部長(56)。以前、溝渕医師が「僕より長時間、病院にいる」と言っていた人物だ。当直ではないが、まだ残って仕事をしているらしい。

 救命救急センター長でもある。多忙を極め、一度あいさつしようとしたが、会った瞬間、PHSで呼ばれて消えていった。京都大出身。脳外科のあらゆる手術に精通し、全国レベルの手技を持つ。

 連絡から半時間。溝渕医師が一階の救急外来に下りた。すると、もう一人、女性の脳外科医が現れた。大卒八年目の福田真紀医師。一年前、民間病院から移ってきた先生だ。

 明日の手術予定の患者への説明や、病棟の重症患者の診察、薬の指示の確認などをしていたという。

 「そろそろ帰ろうかなという感じだったんですが…」。明朝は九時から手術だという。

 「きついですね」と言うと、「前の病院は医師が二人だったので、くも膜下出血が来ると、夜中しか手術する時間がなかったんです。朝までやって、翌日はまた普通に仕事して、というのが一週間に三件続いたことがありました。さすがにその時は、かなり参りましたけど」。

 【写真】救急外来に運び込まれる患者(高知市池、高知医療センター)

 
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