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「中国発ハッカー続出」 米国防省、サイバー攻撃に警鐘

2008年03月04日19時33分

 米国防総省は3日、中国の軍事力に関する年次報告書を発表し、過去1年間に中国から世界各国のコンピューターシステムへの侵入が相次いだと指摘した。「中国人民解放軍や中国政府の承認のもとで行われたかどうかははっきりしない」としつつ、サイバー攻撃能力の増強は軍の方針に合致する、と警鐘を鳴らした。

 国防総省は、同省のコンピューターシステムが昨年6月にハッカーの侵入を受け、国防長官室の電子メールシステムが一時的に停止したことを明らかにしている。会見したセドニー国防次官補代理は「侵入の手口は実際のサイバー戦争にも使えるものだ」と述べた。

 報告書は、昨年1月の衛星破壊実験を機に高まった中国の対宇宙軍事力について、通信妨害機器やレーザー光線、マイクロ波などを使って衛星を妨害する手段を研究していると指摘。中国が昨年、月探査機「嫦娥(じょうが)1号」の月の周回軌道投入に成功したことには「軍事的にもさまざまな意味を持つ」と位置づけた。

 また、中国の指導者は経済発展や国内の安定を守るため、地域情勢の不安定化を防ごうとすると言及。中国軍の展開に影響する地域バランスの変化として、北朝鮮崩壊などの朝鮮半島情勢の変化、日本との関係悪化などを挙げた。

 台湾をめぐっては、中国は短期的な解決を目指すのではなく、台湾側が事実上の独立に動くことを食い止めることに力点を置いているとした。ただ、中国は台湾対岸での弾道ミサイル配備を増強しており、07年11月までに990〜1070基を配備したとも明記した。

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