「コメ作りすぎ、ムダ」農政局ポスター 掲示ボイコット続々
ポスターは青森県津軽平野の背景に、「MOTTAINAI」「米の過剰作付けは、資源のムダづかいです」と大きく記されている。文言は農政局職員が考案し、3万部を作製した。2月中下旬までに東北各県や市町村、農協に発送した。経費は40万円。 農政局の宮坂亘局長は「内容について庁内では特に異論はなかった」と言うが、生産者はいらだちを募らせている。 山形県鶴岡市の農業生産法人「ドリームズファーム」で、27ヘクタールにはえぬきやコシヒカリを作付けする白幡正人農産事業部長は「非常に心外。『作りすぎ』と言うが、麦、大豆では採算の取れない補助制度にしているのは国。転作に協力してほしいという思いは全く伝わらない」と批判する。 普段は農政局とともに転作を呼び掛ける自治体も困惑している。 青森県は、ポスターの上半分を切って掲示する苦肉の策を取った。そのポスターも2月いっぱいで掲示を中止した。 秋田県庁には約100枚送られてきたが、庁内に張ったのは1枚だけ。岩手、山形、福島の各県は庁内に1度張ったポスターをはがした。農政局庁舎近くの宮城県庁は最初から張らなかった。 コメどころの宮城県登米市、あいづ農協(福島県会津若松市)なども掲示を見合わせ、ポスターへのボイコットが広まっている。 農政局の宮坂局長は2月末、「過剰作付けにより米価下落が深刻になっている。危機感を端的に伝えたかった」と意図を説明したが、関係者の違和感は消えていない。 仙台市内の大手広告代理店幹部は、農政局のPRの方法について「転作が本当に正しいのかどうか、生産者は依然、疑問を持っている。こうした中で絶対的に正しいこととして押し付けようとしたのが、反発を招いたのでは」と分析している。
2008年03月03日月曜日
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