ソニーは3日、世界で累計2億8000万台出荷した同社独自のブラウン管「トリニトロン」の生産を3月末で中止することを明らかにした。国内向けは04年にトリニトロンの生産を中止、ブラウン管テレビの出荷も昨年秋に終了しているが、中南米・アジア向けにシンガポールの工場で生産を続けていた。
トリニトロンはソニーが1967年に開発し、68年にカラーテレビとして製品化した。90年代後半から大ヒットしたブラウン管テレビ「ベガ」にも搭載され、ピーク時の00年度には約2000万台を出荷(パソコン用モニターを含む)した。
その後は薄型テレビに押され、06年度の出荷は470万台にとどまった。ソニーは「ベガのヒットで薄型テレビへの転換が遅れた」と指摘されており、今後は液晶テレビなどに集中し、「テレビのソニー」復活を目指す。
ただ、トリニトロンはまだ在庫があり、当面は中南米向けなどにマレーシアやメキシコなどの工場でブラウン管テレビの生産を続ける。【森山知実】
毎日新聞 2008年3月3日 18時24分