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産科休診/常勤医確保で不安解消図れ(3月4日付)
坂下厚生総合病院(会津坂下町)や県立南会津病院(南会津町)でお産や妊婦健診ができなくなった問題で、地元関係者が相次いで佐藤知事に産婦人科医の確保を要望した。
南会津病院関係では、地元女性4団体が南会津郡の人口の3分の1を超える署名を集め、手渡した。坂下厚生総合病院関係でも地元町村長らが住民の危機感を訴えた。
産婦人科での勤務医不足は深刻さを増している。同時に、産婦人科医が去った“空白地域”の現状も悲惨だ。死活問題といってもいいだろう。県はこうした住民の悲痛とも思える声を真剣に受け止めるとともに、産む環境の地域崩壊がさらに拡大しないよう産婦人科医確保に万策を尽くしてほしい。
南会津病院関係で署名を提出したのは南会津郡東部婦人団体連絡協議会、同西部婦人団体連絡協議会など。南会津町職員労組も加わって街頭署名活動を進めてきた。署名協力者は約1万1300人。産婦人科休診による地域の不安がいかに大きいかが分かる。
坂下厚生総合病院関係では、会津西部の女性有志らが「お産と地域医療を考える会」(仮称)を立ち上げることになった。署名などを視野に活動する方針を決めている。
出産に関した窮状をあらためてみてみよう。南会津地方で産婦人科を一手に担っていた南会津病院は2月末で出産の取り扱いをやめた。産婦人科は3月末で休診となる。
南会津病院でお産を控えて健診を受診していた妊婦は南会津町だけで130人だ。妊婦健診は妊娠8カ月まで月1回だが、予定日が近づくと受診の回数も増え、10カ月に入ると毎週となる。
身近で受けられた妊婦健診も、今月からは会津若松市まで足を運ばなければならない。町中心部から車で往復約2時間かかる。只見町などからは車で往復約3時間から4時間の距離だ。妊婦は大きな負担を強いられる。道路事情が悪い冬期間であれば、なおさら大変だ。栃木県での受診を考えている人もいるという。
産婦人科が休診になれば、同じ事態になる。住民健診で異常が指摘されれば精密検査の受診先は会津若松市になる。車を運転できない高齢者には重圧だ。南会津町から同市までバスの便はなく列車利用になる。交通の便の悪さから、精密検査を受けないことになりはしないか心配だ。
坂下厚生総合病院はすでに1月で出産の扱いをやめており、会津地方で子どもを産める病院は会津若松市内の2つだけになった。地域での産む環境の激変は病院勤務医の負担が増すという悪循環にもつながる。
産科医療の立て直しが迫られている。その前に行政がなすべきことは、「1日も早く常勤医が欲しい」という地域の要望に応えることだ。
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