不信の時代の広告2008年03月04日 最近では少し減ったが、ある時期から新聞の社会面に企業のお詫(わ)び広告が数多く見られるようになった。事故の可能性のある自社の製品に関して注意を促し、回収を呼びかける広告が連日のように続く。企業の不祥事も、対応をどうするかによってダメージを最小限で抑えられるという考えから、該当する企業は広告掲載に走った。 さて、ここ数年、企業の不祥事が続き、日本の生活者の企業への不信感は募るばかりだ。そのような状況のなかでも、企業が発信する広告の多くは、相変わらず、自社や自社の商品のメリットばかりを伝えている。しかし、そのような広告に対して、どこか冷めた視線を送り始めている生活者の目があることを忘れてはならない。「人はミスをする」という大前提の下で商品作りをしているというクルマメーカーの話を聞いたことがあるが、「企業も過ちも犯す」と生活者が思い始めているとすれば、そんな状況に対応した新しい形の広告がそろそろ生まれてきても不思議ではないという見方もできる。 例えば、商品のメリットだけではなく、足りない部分も正直に伝え、「今後、さらに、私たちはがんばります」と訴える広告は、かえって企業の誠実さを受け手に与えるだろう。あるいは、社会にこんな貢献をしていますとリアルタイムに伝えると同時に、小さな不祥事や失敗もまめに公表し、反省もする広告は、従来とは次元の違う企業と生活者との絆(きずな)を予感させるかもしれない。 広告費を払って何も自分に不利になる情報を発信しなくてもという意見もあろうが、企業不信の時代のなかで、企業に都合の良すぎるメッセージは、ますます生活者の不信感をあおることになりかねない。企業がもう一度自分が背負うミッションに立ち戻り、真摯(しんし)に自分を伝える企業コミュニケーションモデルに挑戦することを期待したい。(深呼吸) PR情報バックナンバー |
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