広島放送局

2008年3月4日 7時50分更新

鞆架橋 反対住民申し立て却下


広島県福山市の鞆の浦の港の一部を埋め立てて橋を架ける計画について、地元の住民らが、埋め立て免許を許可しないよう訴えていた裁判で、広島地方裁判所は、住民側が申し立てていた、免許の差し止めの仮処分を却下する一方で、「原告側には裁判を起こす資格はある」とする判断を示しました。この申し立ては、橋の建設に反対している福山市鞆町の住民らが、歴史的に貴重な鞆の浦の景観を壊すとして、広島県に対し、埋め立てを許可しないよう求める裁判を起こしたのにともなって、行われていました。
これについて広島地方裁判所は、「仮に埋め立て免許が出たとしても、工事の着工までは時間がかかることが予想され、差し止めを行う緊急性がない」などとして、住民側の申し立てを却下しました。一方で裁判所は、「鞆の浦周辺の景観は、法律で保護されるべき価値がある」などと指摘し、ほとんどの原告が、裁判を起こす資格を持っているという判断を示しました。これまでの裁判では、被告の県は、「埋め立ての免許を出しただけでは重大な損害は出ず、原告が裁判を起こす条件を満たしていない」などとして、訴えを却下するよう求めていました。
これについて原告団の大井幹雄団長は、「仮差し止めの却下は残念だが、原告のほとんどが裁判を起こす資格があるとはっきり示してくれたことは、画期的な評価だと思う」と話しています。