島根県は三月中に、医療機関の機能分担と連携を強める新しい県保健医療計画を策定する。県内七つの二次医療圏ごとに基本的な医療サービスの完結を目指したこれまでの方針を転換し、病気や医療の分野に応じて圏域や県境を越えた連携も盛り込む。
計画の期間は二〇〇八年度から五年間。県医療対策課によると、救急など現場レベルではこれまでも県境を越えて搬送することはあった。しかし関係者が合意形成し、計画に医療機関名まで明記することで、住民に分担が分かりやすくなり、機関相互の連携もスムーズになるとしている。
分担、連携体制をつくるのは、がん▽脳卒中▽急性心筋梗塞(こうそく)▽糖尿病―の四種類の病気と、小児▽周産期▽救急▽災害▽へき地▽在宅―の六種類の医療分野。急性期か、回復期か、などの病状や求められる医療レベルに応じて分ける。
浜田圏域のがん診療の場合、早期診断は県成人病予防センターが対応。手術、薬物療法などの治療や緩和ケアは、国立病院機構浜田医療センター(浜田市)益田赤十字病院(益田市)などが担う。県境を越えた連携では、川本町など大田圏域が三次中央病院(三次市)安佐市民病院(広島市安佐北区)などを、益田圏域が広島、山口県内の総合病院を列挙している。
数値目標も設定。がんの場合、一二年の胃、肺など主要ながんによる人口十万人当たりの死亡率(四十〜六十九歳)を男性一〇八・八人、女性六三・二人とし、〇五年からそれぞれ一七・六人、一九人減を目指す。
国は〇六年六月に医療法を改正。患者への医療情報提供の推進や、生活習慣病や救急医療などので医療機能の分化・連携に向けた計画策定を求めている。(和田木健史)
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