「念ずれば通ず」というのか、「一念岩をも通す」というのか。折り紙飛行機を宇宙から飛ばし、地球への帰還を計画している日本折り紙ヒコーキ協会(福山市御幸町中津原)の戸田拓夫会長。大気圏突入時より厳しい想定で一月に行われた東京大での実験で、自ら考案した立体型折り紙飛行機(耐熱、耐水性の高い化学処理した紙を使用)は燃えたり、変形したりしなかった。また一歩、実現へステップアップしたことになる。
戸田会長に手応えなどをインタビューし、備後面に掲載した。「正しいと思ったことは貫かなければならない。立体型は『作りたい』との強い思いから生まれた」という言葉が印象に残る。ある大企業を育てた創業者がしゃべっていた「途中でやめないことです。どんなことがあっても絶対あきらめなかったからモノにできたんです」に通ずるものがある。
計画は、宇宙航空研究開発機構に提案。認められれば米航空宇宙局(NASA)が可否を判断する。協力姿勢の宇宙飛行士若田光一さんが年末から国際宇宙ステーションに滞在予定。戸田会長は「若田さんに飛ばしてもらえるよう間に合わせたい」と意気込む。備後発の壮大な計画の今後の展開から目が離せない。
一番の問題とされているのが、折り紙飛行機の追跡方法。発信機の取り付けは困難という。高性能の望遠鏡などを使えばしばらくは追跡できるはずというが、位置確認のアイデアを企業などから募っていく考え。さまざまな知恵を集めれば、思いも寄らない発想がわいて出るかもしれない。期待は高まる。
(福山支社・鳥越聖寿)