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高い性能生かされず
千葉県の南の端(はし)から約40キロの海上で2月19日、海上自衛隊の船と漁船がぶつかり、漁船に乗っていた吉清治夫(きちせいはるお)さん(58)、哲大(てつひろ)さん(23)の親子が行方不明になりました。
自衛隊の船は「あたご」という名で、イージス艦(かん)でした。イージス艦はすごい性能のレーダーを持ち、敵の航空機やミサイルを見つけると、大型コンピューターで位置や速度を計算して、あっという間にミサイルで撃(う)ち落とします。あたごは約1400億円かけて造られ、昨年3月から働き始めました。船体の長さは165メートルもあります。
漁船の方は清徳丸(せいとくまる)という名で船体の長さは約12メートル。あたごとぶつかって、真っ二つになってしまいました。
なぜぶつかったのか。海上保安庁という海の安全を担当する国の組織が中心になって原因を調べています。
海には道路もセンターラインもないし、船は急に曲がることもできないので、相手がよけてくれるだろうと思い込(こ)んだり、お互(たが)いがよけようとして同じ方に向かったら、ぶつかってしまいます。そこで相手の船を右側に見る船がよけると決められています。今回は、あたごがよける側にいたとみられています。
あたごが清徳丸に気付くのが遅(おく)れたのではないかという疑問が出ています。立派なレーダーを持ち、見張り役もいながら、気付くのが遅れたとすれば、その理由を調べる必要があります。
自衛隊側がなかなか詳(くわ)しい説明をしなかったり、説明をしても「いつ清徳丸を見つけたのか」といった重要な点について、内容が変わったりしていることに、不満も出ています。
不明になった親子のうち、子どもの哲大さんはホームレスの人たちにご飯を届ける活動をしている団体に、魚の差し入れをしていました。お父さんと2人、いつも清徳丸に乗って漁に出る仲の良い親子だったそうです。
(2008.3.2付) |