提供年月日:平成18年(2006年)1025

                部局:環境生活部

                所属:県民生活センター相談指導グループ

 担当者:本正
                0196242586

特定商取引に関する法律及び岩手県消費生活条例に違反した家庭用温浴器の訪問販売事業者に対する処分について

 岩手県は、本日(平成181025日)、家庭用温浴器の訪問販売事業者に対し、特定商取引に関する法律(以下「特定商取引法」という。)第7条に基づく指示処分及び岩手県消費生活条例(以下「条例」という。)第17条第3項に基づく勧告を行いましたので公表します。

 

1 事業者の概要

(1) 名   称   有限会社ファイン

 (2) 代 表 者   代表取締役 関  保 夫

 (3) 所 在 地   新潟市笹口一丁目1924号アテーナビル7F

 (4) 資 本 金   300万円

 (5) 設   立   平成16年3月30

 (6) 事業内容   健康器具及び電気治療機器の販売、健康食品の卸及び小売業務

2 取引の概要

同社は、消費者の居宅を訪問した際、最初は、主力商品である家庭用温浴器等の販売を勧誘するためのものであることを告げず、消費者の居宅に上がり込み、これらの商品が「玉川温泉と同じ効果がある。」等と不実のことを告げて、消費者が断っているにもかかわらず勧誘を続けている。

さらに、消費者に対し、故意に支払総額を告げずに強引にクレジット契約にサインさせるなどして契約を締結させていた

また、消費者のクーリングオフを妨げるため、「いったん、(商品を)取り付けたらそういうことは無理だ。」と虚偽のことを告げている。

認知症等で収入が国民年金のみの消費者に対し、90万円もの契約を締結させているなど、高齢者の判断力不足に乗じた勧誘も見られた。

なお、主な顧客は65歳以上の高齢女性であり、平均金額54万円の契約を結ばせている。

3 消費者からの相談件数

  60件(平成16年9月から平成18年9月まで)

 

4 主な違反事実
  (1) 特定商取引法違反

ア 氏名等不明示(法第3条)

    同社は、販売員が訪問販売をしようとする際、その相手方に対し、点検に来ました。」、「前に取り付けた機械を点検するので風呂を見せてくだ    さい。」等と、前に購入した商品の点検に来たと勧誘目的を偽り点検形態を装って消費者宅に上がり込み他の商品の勧誘をしている。

イ 商品の品質等の不実告知(法第6条第1項第1号)

    同社は、訪問販売に係る売買契約を締結させるため、「玉川温泉の素で、痛みや骨折によく効く。」とか、「神経痛、肩こりに効く。特に痛みに    効く。」とか、「玉川温泉と同じ効果がある。」などと、不実のことを告げている。

ウ 契約の解除についての不実告知(法第6条第1項第5号)

    消費者が、クーリングオフ期間に、解約したい旨申し出たにもかかわらず、「いったん、取り付けたらそういうことは無理だ。」等、本来クーリ    ングオフが出来るにもかかわらず解約について不実のことを告げた

エ 契約事情の不実告知(法第6条第1項第6号)

   同社は、以前商品を購入したことのある消費者を訪問し、「「ミスティーズバス」を取り付けることになっているはずだ。これはセットになって    いるはずだ。これがなければ意味がない。」等、以前購入した商品とセット商品になっていて、本来購入すべきもの又は購入しないと効果がないも    のなどと商品購入等の動機付けとなる背景・事情に関し、不実のことを告げている。  

オ 故意に事実を告げない(法第6条第2項)

 消費者がクレジット書面に、氏名や住所などの必要事項を記載したあとに、クレジット書面に支払総額を書き込み「支払総額は40万円になります。」と契約が成立した後に支払総額を知らせる等、契約締結時に支払総額や支払方法を隠し、消費者らが支払い可能であると誤認させ、契約締結後に高額な支払いであることを告げている。

カ 迷惑勧誘(法第7条第3号に基づく省令第7条第1号)

    同社の販売員が勧誘を行う際、消費者が、「お金がないから」、「要らないから」と言っているにもかかわらず、勝手に商品を取り付け、使用し    て見せる等、契約の締結について何度も断っているにもかかわらず勧誘を続けた。また、長時間(午前10時から午後3時まで5時間)勧誘を続けた    
  (2)       条例違反

  ア 販売目的隠匿(条例・規則第2条第1号)

    同社は、販売員が訪問販売をしようとする際、その相手方に対し、点検に来ました。」、「前に取り付けた機械を点検するので風呂を見せてくだ    さい。」等と、販売の意図を隠し、又は否定し、消費者宅に上がり込み他の商品の勧誘をしている。

  イ 重要事項不告知(条例・規則第2条第2号)

     消費者がクレジット書面に、氏名や住所などの必要事項を記載したあとに、クレジット書面に支払総額を書き込み「支払総額は40万円になりま     す。」と契約が成立した後に支払総額を知らせる等、支払総額という消費者が契約するか否かを決める重要な情報を消費者に提供せずに契約を締     結させている。

  ウ 重要事項を誤信させる情報の提供(条例・規則第2条第4号)

     同社は、訪問販売に係る売買契約を締結させるため、「玉川温泉の素で、痛みや骨折によく効く。」、「神経痛、肩こりに効く。特に痛みに効     く。」とか、「玉川温泉と同じ効果がある。」などと、同社の商品が玉川温泉とまったく関係ないにもかかわらず、玉川温泉と何らかの関係があ     るかのごとき説明をしている。

エ 長時間、早朝・深夜等の迷惑勧誘(条例・規則第2条第11号)

   同社の販売員が勧誘を行う際、消費者が、「お金がないから」、「要らないから」と言っているにもかかわらず、勝手に商品を取り付け、使用して   見せる等、契約の締結について何度も断っているにもかかわらず勧誘を続けた。また、長時間(午前10時から午後3時まで5時間)勧誘を続けた。

オ 高齢者の判断力不足に乗じた勧誘(条例・規則第2条第14号)

   認知症等で収入が国民年金のみの消費者に対し、90万円もの契約を締結させている。

カ クーリングオフ妨害(条例・規則第5条第1号)

   消費者が、クーリングオフ期間に、解約したい旨申し出たにもかかわらず、「いったん、取り付けたらそういうことは無理だ。」等、本来クーリン   グオフが出来るにもかかわらず解約出来ないと欺き、消費者の契約解除の主張を不当に妨げて、契約の存続を強要している

5 指示・勧告の内容
 (1)    特定商取引法第7条に基づく指示
  ア 訪問販売しようとするときは、その勧誘に先立って、その相手方に対し、売買契約の締結について勧誘をする目的である旨及び当該勧誘に係る商品   の種類を明らかにすること。(特定商取引法第3条)
  イ 訪問販売に係る売買契約の締結について勧誘をするに際し、商品の品質等について、不実のことを告げる行為をしないこと。(特定商取引法第6条    第1項第1号)

  ウ 訪問販売に係る売買契約の申込みの撤回又は解除を妨げるため、売買契約の申込みの撤回又は解除に関する事項について、不実のことを告げる行為   をしないこと。(特定商取引法第6条第1項第5号)

  エ 訪問販売に係る売買契約の締結について勧誘をするに際し、相手方が当該売買契約の締結を必要とする事情に関する事項について、不実のことを告   げる行為をしないこと。(特定商取引法第6条第1項第6号)
  オ 訪問販売に係る売買契約の締結について勧誘をするに際し、故意に事実を告げない行為をしないこと。(特定商取引法第6条第2項)
  カ 訪問販売に係る売買契約の締結について迷惑を覚えさせる仕方で勧誘を行わないこと。(特定商取引法第7条第3号、特定商取引法施行規則第7条   第1号)

(2) 条例第17条第3項に基づく勧告
  ア 商品の販売の意図を明らかにせず、若しくは商品の販売以外のことを主要な目的であるかのように告げて消費者に接近し、又はそのような広告等で   消費者を誘引することにより、契約の締結を勧誘し、又は契約を締結させる行為を行わないこと(条例第17条第1項第1号、規則第2条第1号)。    イ 商品又は役務の質、用途、取引条件、取引の仕組みその他の取引に関する重要な情報であって、事業者が保有し、又は保有し得るものを提供しない   で、契約の締結を勧誘し、又は契約を締結させる行為を行わないこと(条例第17条第1項第1号、規則第2条第2号)。
  ウ 消費者が契約締結の意思を決定する上での重要な事項について、事実と異なることを告げ、若しくは誤信させるような情報を提供し、又は将来にお   ける不確実な事項について断定的判断を提供して、契約の締結を勧誘し、又は契約を締結させる行為を行わないこと(条例第17条第1項第1号、規則   第2条第4号)。

  エ 長時間にわたり、反復して、又は早朝若しくは深夜に電話をし、又は訪問する等の迷惑を覚えさせるような方法で、契約の締結を勧誘し、又は契約   を締結させる行為を行わないこと(条例第17条第1項第1号、規則第2条第11号)。

  オ 未成年者、高齢者その他の者の取引に関する知識、経験又は判断力の不足に乗じて、契約の締結を勧誘し、又は契約を締結させる行為を行わない    こと(条例第17条第1項第1号、規則第2条第14号)。

  カ 消費者がクーリング・オフの権利を行使したにもかかわらず、これを拒否し、若しくは黙殺し、又は消費者を威迫し、若しくは欺くことにより、当   該権利の行使に基づく契約の申込みの撤回又は契約の解除の主張を不当に妨げて、契約の成立又は存続を強要する行為を行わないこと(条例第17条第   1項第4号、規則第5条第1号)。

5 今後の対応

 (1) 指示等の内容に対する改善措置について、平成18年11月8日までに岩手県知事あて報告させる。

 (2) 今後、改善が認められない場合は、特定商取引法に基づく「業務停止命令」等を行う。