ここから本文エリア 周辺首長肩入れ 対話・議論 気になる民意2008年02月22日 九州新幹線西九州(長崎)ルートの建設問題を最大の争点にした江北町長選。建設反対の現職田中源一候補(59)と、容認の元県職員山田恭輔候補(39)の両陣営には、それぞれ建設で賛否を分ける自治体の首長らも支援に駆けつけている。同ルート着工のめどが立つ中、周囲は今回の選挙で示される民意に、何を期待しようとしているのか。(村田悟、市川雄輝) 「もう、新幹線ができる流れになっている。それに乗れるか乗れないか、山田さんと江北町民にかかっている」 21日夜、町老人福祉センター。山田氏陣営の総決起集会が開かれ、新幹線建設を推進してきた樋渡啓祐・武雄市長が声を張り上げた。 樋渡市長は、県西部地域での建設推進の先導役として、国や与党に着実な建設や予算確保の陳情を繰り返していた首長の1人。告示日の19日夕には、山田氏とともに、町内で街頭演説に立ち、てこ入れした。 山田氏の上司だった松尾正広・元県出納長も応援に駆けつけ、「時代の変化に応えられるのが山田氏だ」と強調。建設を推し進める県側も、選挙に注目している。 昨年末の佐賀、長崎両県とJR九州との3者合意で、沿線自治体の同意は不要となる運びだ。ある県幹部は「選挙結果が新幹線政策に大きな影響を与えることはない」と言い切る。新幹線活用に向けた今後の自治体との協議についても「対話をうたう人のほうが一緒に仕事しやすいですよ」と田中氏を牽制(けんせい)する。 その田中氏陣営。支援には、ともに新幹線に反対し続けてきた鹿島市の桑原允彦市長のほか、杵島郡内の町長らも駆けつけている。 19日の出陣式。桑原市長は「新幹線は早くもフル規格を求める声がある。そうなれば江北町はどうなるのか」と訴えた。仮にフル規格になれば、江北町の肥前山口駅に止まらなくなるのではとの懸念を示す。田中氏とは、92年に「JR長崎本線存続期成会」をつくり、長崎線のJR九州からの経営分離に反対し続けてきた間柄だ。 「着工が近づいているのは事実だが、大きな力に唯々諾々とひれ伏すのではなく、最後まで戦ったという歴史を残せる選挙になる」と桑原市長は力を込める。22日の田中氏の総決起集会にも出席する予定だ。 桑原市長らとともに、出陣式に出席した白石町の片渕弘晃町長は少し事情が違う。当初は経営分離に反対したが、地元負担がないことなどを条件に05年末に同意に転じた。 田中氏の新幹線反対姿勢とは一線を画してはいるが、田中氏と同調する部分も垣間見える。片渕町長は「新幹線建設に2700億円という経費を費やすことについては、みんなが議論しなければいけないことだ」と言う。 江北町長選は、町内だけでなく、周辺自治体の思いまで複雑に抱え込んだまま、24日の「決戦日」を迎える。 マイタウン佐賀
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