<…そうです! 君、君が桃太郎なんですよ>
こんなナレーションで締めくくる「それからの桃太郎」という曲がリリースされました。歌っているのは、大阪を拠点に活動し、プロ野球のタイガース応援歌でも知られる「ハリセン演歌」歌手の小川リエさん。いじめなど子どもたちを取り巻く諸問題をとらえた社会の応援歌です。
鬼退治をした桃太郎の“それから”は、一人間として二十一世紀の社会で悪戦苦闘しているという設定。その訳は、桃太郎のお供に象徴される犬(包容力)猿(知恵)キジ(勇気)の三つの精神の均衡が崩れてしまったからだというのです。そうして歌では、誰もが持つ三つの精神をはぐくみ、みんなが桃太郎になろうと呼び掛けます。岡山県人として、桃太郎が幼い子どもたちに夢と元気を与えてくれればと願っています。
“それから”で言えば、興味深いのが、勤勉・孝行の象徴とされる二宮金次郎です。作家の猪瀬直樹氏は著書で、合理的な市場社会の考えを持ち、藩や幕府の財政再建に取り組んだ“大人の金次郎”に焦点を当てています。今の人口減社会にも当てはまる成長戦略は特に、「商」としての農業に良いヒントを与えてくれている気がします。
岡山県は他に先がけ、都会からの就農者誘致などで農業振興に力を入れています。食料自給率、防災面からの国土保全、近年では集落維持、食の安全安心…など、実に多くの課題と直結している農業。岡山をはじめとする瀬戸内地域の豊かな“それから”を築く上で、産業としての農業に大いに期待しています。
(大阪支社・大本哲弥)