◇「反対の声」風化させない−−久原正之さん(68)
――「なし?会」の活動内容について教えてください。
JR長崎線の頭文字「な」と特急「白いかもめ」の頭文字「し」を取って、佐賀弁で「なぜ?」という意味の「なしかい」と名前を付け、昨夏から鹿島市を中心に活動をしています。鹿島市、江北町のほか東京でも長崎線の現状のままの存続を訴える街頭活動などをしました。
――九州新幹線長崎(西九州)ルートについて、佐賀、長崎両県とJR九州が昨年12月に「3者合意」(JRが新幹線開業後も長崎線を継続運行することで、長崎線沿線自治体の同意を不要とする内容)をまとめ、2月27日に政府・与党の整備新幹線作業部会はこれを認めました。一連の流れをどう見ますか。
政治家は未来に対して責任を持つべきです。(自民党整備新幹線等鉄道調査会長の)久間章生衆院議員=長崎2区=が「道路を造るときも反対する人はいる。最大公約数でやるのが政治だ」とコメントしたと新聞で紹介されていましたが、「新聞の世論調査でも不要が必要より多いのだから、反対の方を最大公約数と捉えるべきではないか」と言いたくなります。
――沿線自治体の江北町では2月24日の町長選で、反対派の現職が容認派の新人を破りました。
鹿島市でも06年の市長選で反対派が勝ちました。そうした民意を無視する古川康知事の強引なやり方は実績づくりだけで、生活者の視点が感じられません。
――新幹線開業後にJRが継続して長崎線を運行しても、特急本数は現在の約5分の1の10本程度になるなどとされています。肥前鹿島駅のある鹿島市に住んでいて、どんな不安を聞きますか。
3者合意で地元自治体がいくら反対しても着工されるということになり、脱力感が漂っているようです。しかし、長崎線は高齢者や高校生など自動車を運転できない人にとってはなくてはならない路線ですから、温度差はありますが「通勤や通学が不便になる」という声はよく聞きます。
――「なし?会」の今後の活動方針について教えてください。
全国の人に鹿島市が直面している問題を知ってもらいたい。反対の声があることを風化させてはいけないと思います。沿線自治体が反対の声を上げにくくなる国の正式決定後も、民間から声を上げ続けていきたいと思います。【聞き手・関谷俊介】
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■人物略歴
◇くはら・まさゆき
1939年、鹿島市の祐徳稲荷神社の門前商店街の旅館(現在は土産店)で生まれる。小学生のときに父親の仕事の都合で県外に出る。東京で映画会社に勤務後、独立。約10年前に帰郷した。「なし?会」は現在会員約1000人。
3月2日朝刊
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