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都内のリハビリ専門病院に入院中の日本代表イビチャ・オシム前監督(66)が30日、日本―ボスニア・ヘルツェゴビナ戦を観戦。昨年11月16日、脳梗塞(こうそく)に倒れてから75日ぶりに、初めて公の場に現れた。左太もも肉離れ治療のため、戦線離脱中のDF田中マルクス闘莉王(26)=浦和=をしかるなど本来の姿を見せた。一時は生命が危ぶまれたオシム前監督の復活に選手、サポーターは勇気と感動をもらった。
正装杖をつき 名将が、スタジアムに帰って来た。日本と、母国ボスニア・ヘルツェゴビナの一戦を、鋭い視線で見つめた。
試合開始13分前の午後7時7分、国立競技場のメーンスタンド入り口に横付けされたワゴン車から降り立った。アシマ夫人(64)、長男のアマル前千葉監督(40)に支えられていたが、右手でつえを使いながらゆっくりと歩を進めた。コートの下はスーツにネクタイの正装。病に倒れてから75日ぶり。順調な回復を見せると、ガラス張りの特別室で、90分間観戦した。
ハーフタイムには電光掲示板にメッセージが出されると、サポーターからは温かい拍手が送られた。
倒れる前に115キロあった体重は、現在は102キロ。一時は95キロまで落ちたが、回復とともに増加。この日も、スタンドでものを食べる姿が見られた。川淵キャプテンによると、ハーフタイムには日本協会名誉総裁の高円宮妃久子さまの訪問を受け「妃殿下の前なら10時間でも立っていられる」と冗談めかし、立ち上がって対応。また、ボスニアを応援すると言っていたアシマ夫人が、そういうそぶりを見せなかったことに対し「女性の考えはいつでもすぐ変わるものだ」と、オシム節も健在だったという。
闘莉王を一喝 やせて見た目の印象は変わったが、情熱は変わっていない。この日、DF闘莉王(浦和)が後半、あいさつに出向くと、間髪入れず一喝。「オレはここにいてもいいが、お前はここで何をやっているんだ!」と、負傷中の闘莉王を容赦なくどなりつけた。
連日、4~5時間のリハビリに励み、ついにこの日を迎えた。早ければ2月下旬に退院できる見込み。オシム前監督の生きざまは、岡田ジャパンに力を与える。
◆オシム前監督の回復
▽07年11月16日 千葉県内の自宅で倒れる。急性脳梗塞で浦安市内の病院に入院。
▽同19日 アシマ夫人との結婚記念日に生命の危機を脱出。
▽同23日 日本代表監督の退任を発表。
▽同26日 意識回復の兆し。家族の声に反応。
▽12月3日 意識回復。初めて発した言葉は「試合は?」。
▽同24日 都内のリハビリ施設へ転院。
▽同27日 川淵キャプテンがお見舞い。約30分、会話を交わす。
▽08年1月9日 岡田監督がお見舞い。
(2008年1月31日06時00分 スポーツ報知)