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2008年3月号
Yl_pin.gif (1016 バイト) 政 治

「ぬるま湯政局」を直撃する
小泉・細川「新党含み極秘会談」【永田町25時】

 小沢一郎の側近中の側近で民主党国対委員長の山岡賢次が、地盤の栃木県小山市で支持者を前に言った。
「四月衆院解散、5月6日告示、18日の大安吉日が選挙だと思う」
 首相の福田康夫に対する問責決議案を参院に提出して福田内閣を解散に追い込むというのだ。これが2月13日夜のこと。
 すると翌日、代表代行の菅直人、幹事長の鳩山由紀夫、参院議員会長の輿石東ら民主党の幹部が口を揃えて9月の代表選に言及、小沢の再選を支持すると言い出した。代表選の前に衆院選が行われた場合、負けたら小沢は代表を退陣、勝てば続投が常識。つまり4月解散を想定していないからこその「続投支持」発言だ。
 福田の後見役を自認する元首相の森喜朗は側近の若手議員に言った。
「菅も鳩山も小沢が首相を務められない健康状態であることを知っている。衆院選で民主党が過半数をとれば、小沢は自分を首相に指名すると二人とも思っている。だから選挙が9月以降だった場合、小沢が続投でなければ困るんだ」
 2人にとってライバルは元代表で現在副代表の岡田克也。9月の代表選に小沢が出馬しなければ岡田が代表に復帰する可能性が強まる。だから菅、鳩山を支持する勢力にとっては小沢代表の下での選挙が大前提。できれば9月の代表選で岡田を叩き潰した後の解散が望ましい。山岡の四月解散発言は、福田への融和姿勢で低下ぎみの小沢の党内求心力を維持するためのフェイントであり、民主党に政府与党を早期解散に追い込む意思統一などないのだ。
 民主党は「ガソリン値下げ隊」を街頭に繰り出すなど表向きの威勢はいい。しかし掛け声だけ。事実、自民党も民主党も大多数が選挙は秋以降と思い始めている。政局はどうしても生ぬるくならざるをえない。
 そんな中、元首相の小泉純一郎と細川護煕が1月下旬、都内の料理屋で極秘に会談していたことが明らかになった。誘ったのはここ10年政界の動きに一線を画してきた細川。しかも2月に入って、会談の事実を親しい記者に漏らし、「今後の政界再編について小泉さんとざっくばらんな話をした」とメッセージを発した。(後略)


Yl_pin.gif (1016 バイト) 経 済
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増殖を始めた不良債権
「金融危機前夜」の様相
【金融ジャーナリスト匿名座談会】

(前略)
B まずは信用組合だろう。信組の上部組織である全国信用組合連合会が資本支援制度を複数の信用組合に発動する。もちろん支援制度を受けるだけの事情があるわけだ。たとえば大東京信用組合。同信組は昨年、東京建設業信組を吸収合併したが、東京建設業信組は昨年初めの時点でペイオフ第1号と目されていた。
C 同信組は不良債権比率がきわめて高いだけではなく、店舗が1つだけで、預金量が少ない。煩雑な処理作業が強いられるペイオフも可能な規模だったので、ペイオフ対象には格好と見られたんだ。しかし大東京信組が救済した。
B 救済はしたが、東京建設業信組の不良債権はそのまま。だから資本支援という話になったわけだ。
A 東京都内だけをみても、相当規模の不良債権を抱え込んだ信用組合は少なくない。むろん貸倒引当金は積んでいるわけだが、不稼動資産を抱え込んだままだと、経営の健全性は時が経つに従って損なわれる。引当処理では足りなくなって最終処理となれば、金融機関には新たな損失が発生し、赤字になって資本を食う。だから最終処理ができずに内部に抱え込んだままになっている。
B 東京は地方に比べれば景気はまだまし。にもかかわらず経営状況が芳しくないということは、経営地盤を失っているということだろう。最終的には、そのような信組を存続させるかどうかという問題になる。金融庁の考え方次第だが、現実には政治力が働く。だから、これまでも抜本的な処理ができなかった。
C しかし、この先はどうかな。景気の好転で勢いをつけていたところで、再び景気が悪化しだした。不動産価格も下げている。担保評価が下がって引当金をさらに積み増さなければならなくなる。それに堪えられるとは思えない。
A 信組に限らず首都圏の中小金融機関は、景気好転というより、地価の底打ち、反転上昇で担保評価が上がったことで不良債権を減らすことができたという経緯がある。それが逆回転すれば、やはり不良債権は増えるしかない。
B 竹中平蔵氏が金融担当大臣だったとき、大手銀行には厳しく、地銀以下には甘い行政を行った。いわゆる竹中政策だ。地銀以下はリレーションシップバンキングと称して、不良債権の最終処理を強制せず、むしろ、じっくりと融資先企業を支援せよということをやった。地銀以下に、大手銀行と同じような厳しい不良債権処理を強要すると、経営が著しく悪化して、破綻する金融機関が続出しかねなかったからだ。
C そうしているうちに幸運にも地価が上昇したので、政策効果があがったようにみえた。その竹中マジックが底割れしたわけだ。
A 結局のところ、竹中政策はインフレが起きないと成果が出ない。だから竹中氏は日銀に量的緩和を求め続けて、金利を下げろと主張している。竹中氏らしく、あれやこれや専門用語を並べ立てるが、所詮は単純なインフレ主義者だ。
B おかげで首都圏の銀行は見映えがよくなったが、そのメッキがはげ始めたわけだ。安い塗装で、実態は何もよくなっていなかったことが歴然としてきた。信金、信組はこれからさらに大変な局面を迎える。
C 第二地銀も深刻だろう。やはり地元の土建、建設、金融の3業種の経営悪化が響いている。
A 金融業は、貸金業法改正に伴って、消費者金融のみならず、地方型の信販会社も経営をガタガタにされた。この先、破綻するケースが続出するだろう。その信販会社に融資しているのは、地元の地銀、第二地銀クラスだ。(後略)


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【情報源】
「ベンチャーと闇社会」の相関図


 兜町はじめ金融関係者の間で、あるチャート図が話題になっている。100を超えるITベンチャー経営者、一般事業法人、銀行、証券会社、さらには政治家、ブローカー、アングラ紳士などの実名が記され、新興ベンチャーの人脈や資金のつながりが網羅されている。この種のリストやチャートは過去にも度々出回っているが、今回のチャートの主役は、金融庁検査が終了したばかりのみずほ銀行。執行役員、本店審査部担当者の個人名があり、そこから様々な方向にラインが伸びている。
 みずほ銀行といえば、「不透明な買収スキームにこれほど多額の融資をするのは常識ではありえない」(大手銀行融資担当者)と金融関係者を呆れさせた、六本木支店からグッドウィル・グループへの約900億円の巨額融資や、TBS株の取得資金として渋谷支店がABCマートに融資した265億円など、憶測を呼ぶ案件が少なくない。チャート図ではそれ以外にも、みずほが仲介し、JASDAQ上場のディーワンダーランド、大黒屋、橋梁メーカーのサクラダが絡んだM&Aも取り上げられている。
 そこに登場するのが、一方の主役であるゴールドマン・サックス出身の小川浩平・森電機社長。小川氏は東証2部上場のセキドのM&Aでも、みずほ銀行とタッグを組んでいるという。興味深いのは、これらの登場人物が慶応大学ラグビー部人脈だと指摘されていること。
 ほかにも、摘発された関西の西田晴夫氏、大場武生氏などの仕手筋や、アイビーダイワ、キムラタン、シルバー精工、ヤマシナなどお馴染みの仕手銘柄が登場。オーベン(旧アイ・シー・エフ)、NOVA、SFCG(旧商工ファンド)、ACホールディングス(旧南野建設)、東理ホールディングス(福村康博社長)の名前もある。
 SEC(証券取引等監視委員会)や金融庁の目が厳しさを増しているだけに、チャートに登場する案件の中には今後事件化、スキャンダル化するものもありそう。早速、SECは大阪府警と連携し、金融商品取引法違反の疑いでマザーズ上場のオーベンを強制調査。東京地検特捜部時代に敏腕検事として鳴らした佐渡賢一氏が委員長に就任し、人員と権限も強化されたSECが「最大のテーマはベンチャーと闇社会の実態解明」(SEC関係者)と意気込んでいるだけに、春以降、アングラ勢力とそれに連なるベンチャー関係者が芋づる式に炙り出されそう。(後略)


Yl_pin.gif (1016 バイト)社会・文化
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世界に蔓延した「金融偽装」
サブプライム問題の本質は「システムとしての金融詐欺」

 サブプライムローン問題の怖さは、世界の資本主義が互いに絡み合いながら、偽装を繰り返しつつ、「ババ抜きゲーム」に興じているという国際金融の本質が見えてしまったことである。
「NINJA(ニンジャ)ローン」――ノー・インカム(収入)、ノージョブ(仕事)、ノー・アセット(資産)――収入も仕事も資産もない貧乏人に、ローンを組ませて家を売りつけ、ITバブルの崩壊や9.11同時テロによる不況を、住宅バブルに飛ばして乗り切ろうとしたのが、米国の国家戦略だった。
 だが、そんなリスキーなローン債権は誰も手元に置いておきたくない。だからまず住宅ローン債権をまとめて証券化、さらにその一部を取り出して、他のローン債権とともに債務担保証券に組み替えて販売した。
 焦げつき必至の金融商品を組成、それを証券化で偽装して「不良品」だという正体を隠し、世界中で販売していたのだから詐欺だろう。「船場吉兆」や「赤福」と変わるところがない。ただ、金融商品はいずれもシステムとして形成されるために詐欺という断定はできない。
 怪しいから備えは万全にする。偽装された証券に、格付け会社はトリプルAやダブルAという高格付けをつけ、モノラインという金融保証会社が保証、貸し倒れリスクに備えた。だがそれは、ウォール街の住人たちが考えたリスク飛ばしである。
 貧乏人にサブプライムローンを組ませるのは住宅ローンブローカーである。こうしたブローカーは歩合でセールスマンを雇い、複数の住宅ローン会社の商品を顧客に売りつける。最初の2年が金利6%で、残り28年が十数%といった無茶なローンが長続きしないことは、住宅ローン会社にだってわかるが、資金の出し手は銀行なのだから、NINJAローンの販売に遠慮はなかった。
 銀行が、住宅ローンの回収に最後まで気を抜くことができない時代なら、審査は厳格に行い妥協はしなかった。だが、証券化の普及は、審査を曖昧にした。500本、1000本といった単位の住宅ローン債権を、銀行は証券会社にまとめて渡し、証券会社はそれを証券化商品(債券)にして機関投資家などに販売した。
 銀行にはBIS規制があって、債権はバランスシートから落とさねば新たな貸し付けができないので、証券化は銀行にとって必須の金融技術。そして組成する証券会社にとっては、確実に手数料を手にすることのできる格好の商品である。それは格付け会社やモノラインにとっても同じことで、最終顧客となる投資家も、カネ余りのなか投資先に困っていたので、リスクに応じてリターンを約束する証券化商品の存在はありがたかった。
 だが肝心なことは、サブプライムローンが焦げつき必至の毒薬であること。だから「ババ抜きゲーム」なのだが、詐欺商品の販売責任は、売った人(住宅ローン会社)、貸した人(銀行)、組成した人(証券会社)、格付けした人(格付け会社)、保証した人(モノライン)のみんなに及ぶ。
 つまりシステムとしての金融詐欺なので犯罪としては立件できない。それに、銀行や証券会社が、利回りの高さや保証に目くらましされ、さらには証券化の連続のなか、自分がオフバランスしたローン債権も含まれる可能性があるという複雑さの果て、投資家として債券を購入、被害者にもなるのだった。(後略)


Yl_pin.gif (1016 バイト)連 載
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流減流行への一撃】西部邁
消火できるか「ガソリン国会」   

「1リットル25円安」、それが民主党の「ガソリン税暫定税率の廃止」にかんする宣伝文句である。平均でいって、一家庭当たり4000円余のガソリン代節約となるそうだ。自民党はその暫定税率の十年間延長を主張している。そして我々の国会は、今や、「ガソリン国会」と銘打たれて、まさに炎上寸前の光景を呈している。はっきりいって「末法の世」とはこのことかと、溜め息の一つか二つ吐きたくなって当然である。というのも、巷に林立する「ガソリン税25円安」の幟が、何あろう、来るべき衆院選へ向けての票稼ぎの目論見に発していることは、誰の目にも明らかだからだ。
 その証拠に、このガソリン問題はにわかに浮上したものにすぎない。つい先日まで、国会で何のガソリン議論も行われていなかった。(総選挙の)「為にする議論」とはこのことで、「人の為すこと」はすべて「偽り」なのか、と人間性についての悲観なり虚無なりに沈んでいる者も少なくないのではないか。「日本丸」が国内外の危機の波濤が押し寄せるなかで沈没しかかっているというのに、我々の国会議員たちは、よくもまあ、こんな(中味のない議論という意味で)喧嘩沙汰に明け暮れして恥じないものだ。まともな神経を持った者なら、マッチ1本で「ガソリン国会」に放火してやりたくなって当たり前というものではないのか。
 道路建設は長期計画でしか進まない。つまり、もし地方の各地でまだ道路が必要だというのなら、5年か10年かについては議論の余地があるだろうものの、暫定税率の長期延長は何ら不当な処置ではない。また、現在進行中の道路建設を中断させれば、これまでの建設費用(の大半)はドブに捨てたことになる。さらに、ガソリン価格を下落させれば、自動車(の所有と使用の)需要が増大することになり、それは環境破壊を増進させることになる。もっというと、公共土木事業費が地方経済を奮い起こさせるに当たって連動性を持つのである以上、それを総額で年当たり2兆4000億円ばかり減殺させることによる地域破壊、という損失のことも考えなければならない。
 もちろん、本当に必要な道路はあとどれくらいなのか、ガソリン税の使用先を道路に限定せずに環境問題や福祉問題にも充当してもよいのではないか、という論点は存分に検討するに値する。しかし、急に登場した論点を早急に解決せよと迫るのは、児戯に類したせわしなさというものである。ましてや、ガソリン税を減らせば国民の可処分所得が増大し、その「乗数効果」によってGDPが(たぶん減税分の3倍ほど)増えるので、そこからの税収で財政収支の帳尻が合う、という(民主党の)議論はあまりにも根拠薄弱である。世界と日本の経済景気に暗雲が垂れ込めている今、その減税分は貯蓄に回されるので、乗数効果は期待できない、と考えるほうがよほど合理的であろう。
 要するに、ガソリン国会とは、いわゆる「政局」という名の権力争奪の競技場(もしくは遊戯場)のことにほかならない。大概の国民は――マスメディアも含めて――そのことを承知しているのに、その埒のあかない政争に不平の一つも述べ立てる気力を有していないときている。いや、「政変」でも起これば少々なりとも退屈しのぎをできるに違いないと算段して、このピュエリル(精神的小児病)な政局を観望しているのだ。ガソリン減税という「パン」をよこせ、そうすれば政局の「サーカス」に馳せ参じてやろう、というのが我が(大衆に変じた)自称国民の了見なのであろう。「パンとサーカス」にのめり込んで堕ちるところまで堕ちよ、それまではこの列島人に覚醒の時は訪れない、と予言しておくのは乱暴すぎるであろうか。
 振り返れば、郵政(衆院)選挙や年金(参院)選挙を筆頭にして、近年の日本政治はシングル・イッシュウ(単一争点)をめぐって回転している。多党が競い合う政体においてならば、ドイツの「緑の党」のようなある小党がシングル・イッシュウ・パーティ(単一争点政党)として政界の一角を占める、というのも面白くかつ有益な事態かもしれない。しかし、二大政党制を標榜する政体にあって、両党が単一争点でせめぎ合うということは何を意味するか。
 それは、様々な政策のあいだの体系が見失われることであり、その結果として国家の全体像が崩落していくことにほかならない。そんな国家の自己破壊がなぜ行われるのか。いうまでもなく、マスメディアにとって単一争点をクローズアップするのが世論を扇動するのに最も便利だからである。「単純性と刺激性」、それが(とくにTVを中心とする映像メディアにおける)デマゴギーつまり民衆扇動の常套手段となっている。(後略)


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